阿波銀行 システム共同化に合わせ本部業務システム(人事、財務会計、動不動産)を再構築
会計テンプレート導入例
「堅実経営」を行是に掲げ、地域社会に密着したサービスを展開し続ける阿波銀行では、04年1月にスタートした基幹系業務システムの共同化(じゅうだん会システム共同化)に合わせ、本部業務の再構築を決断。新プラットフォーム上でシステムを実現することとなった。再構築の対象となったのは、人事、動不動産管理、財務会計の3業務。構築のためのシステム基盤としては、SAP社のR/3が選択された。この際、金融業務に対応した財務会計システムを迅速かつ確実に構築するために選択されたのは、みずほ情報総研が提供する「金融業向け会計テンプレート for mySAP ERP」であった。
属人化した業務運営からの脱却、そして将来を見据えたシステムの選定
「決算業務については、ホスト側で完了する部分だけではなく、多くの部分を手作業に頼っているというのが実態でした。このため、どうしても属人化してしまうという傾向にありました」──今回のシステム導入前の本部業務システムの状況について、阿波銀行 共同化推進室 室長の前田清毅氏は、こう振り返える。
再構築の対象となった本部業務の他の2つの業務についても、同行では少なからず改善の余地を感じていた。動不動産管理は、メインフレーム上のバッチシステムという形で実現されており、運用や使い勝手の面で不満があった。また、人事業務については、充分な作り込みにより使いやすい状況にはあったものの、その後のメンテナンスを考えると、システムを継続使用することにリスクを感じてもいた。
「共同化という流れでは、開発・運用作業をアウトソーシングし、社内の開発部門の数を減らす方向となっていました。このため、共同化でホストシステムが完全に入れ替えとなった後、手作りの人事システムを再度、新システム上に移行し継続使用すると、将来の人事制度変更への対応やメンテナンスができなくなってしまう危険性があると判断しました」(前田氏)。
現状の使い勝手だけでなく、将来を見据えたシステム選定が必須であると判断した同行では、再構築するシステムをどのように構築するかについて検討に入った。熟慮の末採用したのは、パッケージ製品を活用したシステムの構築というアイディアだった。さらに、「複数のパッケージベンダーをコントロールする負荷は避けたい」(前田氏)という意向から、人事、動不動産、財務会計の3業務をまとめて実現できる統合パッケージ、そしてベンダーの選定が開始された。
新システム基盤選定のポイント
- 属人製の排除と使い勝手の向上
- 将来的なメンテナンスが容易
- 3業務(会計、人事、動不動産)をカバー
R/3ペースでの金融向け財務会計の実現には「会計テンプレート」が必要不可欠
いくつかのベンダーによる提案について評価を行った同行では、最終的にSAP社が捷供するR/3の選択を決定。「他のERPベンダーの製品と比較し、機能面等での絶対的な優位性があったわけではない」(前田氏)と判断する中で、最終的にR/3を選定した理由は、安定的な運用が期待でき、また、将来的にも極力作り込みをしなくて良い点にあった。開発メンバーが減ってしまうことなども考慮した上での判断だった。
しかしながら、課題が全て解決された訳ではなかった。それはR/3が提供する会計機能に関わるもので、製造業を生い立ちとするR/3では、提供する会計機能が、金融機関の財務会計に対応しておらず、そのまま適用することが難しい状況だった。
タイトなスケジュールの中、浮上してきたのが、「金融業向け会計テンプレート for mySAP ERP」。同テンプレートは、R/3の標準化機能を有効化し、金融業務向けに適用したもので、激しい経営環境変化に臨む銀行にとって非常に有意なものであった。同行では、本テンプレートの採用を決め、同時にみずほ情報総研の提供するアウトソーシングサービスにより、新システムを構築することを決定した。
減損会計対応、一部制度改正対応も含め新システムで04年3月期を無事完了
同行では、03年末から04年年始の休業期間を使って、共同版システムへの移行作業を実施。04年1月から新システムの本格稼動を開始した。そして、04年3月期の決算については、旧システム上のデータを使用し、新システムとして決算業務を実施した。
「減損会計対応や、会計の一部制度変更などを含め、新システムによる3月期決算を実施し、特に大きな問題もなく完了することができました。また、動不動産管理システムについては03年4月に既に稼動を開始していたため、新旧のホストインターフェイスヘの対応も発生しましたが、みずほ情報総研の対応で上手く乗り切ることができました」──新システムによる最初の決算結果は、前田氏にこう評価する。
新システムでは、マイクロソフト社のWindows Serverプラットフォーム上でR/3を稼動し、「会計テンプレート for mySAP ERP」を適用。DBMSとしてはSQL Serverを使用している。当初、Windowsプラットフォームによる業務遂行に懸念を感じていた同行だが、新システムによる決算業務を無事完了することで、その見方も変わったという。
阿波銀行 本番環境システム構成
| 環境 | サーバー | 項目 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 本番 | R/3サーバー | 機種 | IBM Netfinity7600 |
| CPU | Pentium lll Xeon700M*4 | ||
| OS | Microsoft Windows NT4.0 | ||
| R/3 | SAP R/3 Enterprise 4.6C | ||
| DB | Microsoft SQL Server7.0 |
導入効果:四半期を含む決算の効率化、将来的な変化への柔軟な対応
「会計テンプレート」を適用した新システムの導入効について前田氏は、「みずほ情報総研のソリューション出会うのがあと半年遅れたら、新システムによる04年3期の決算実現は非常に困難だったと思います」と語り評価した。
共同化という大きな潮流の中、同行では、新システム構築にあたり、戦略的なトレードオフを断行し、パッケージを選択することで、懸案だった属人化した業務運営からの脱却や四半期を含む決算の効率化、そして将来的な変化への対応を実現した。
最後に前田氏は、システム至上主義では解決できない業務改善について、次のように締めくくった。
「銀行が抱えている課題は、どこでもそんなに変わらないものだと思います。単なるシステム機能の優位性だけに着目してシステム改変をしようというのは間違いであり、むしろ業務の将来展望から考えるべきだと考えます。見た目や使い勝手にこだわらず、最も重要なもの以外を切り捨てる覚悟がなければ、パッケージを生かすことはできないでしょう」
- *本稿は、日本金融通信社刊の金融IT情報誌『FIT』2005年夏号に掲載されたものを転載しています
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