「数字がつかめる」新決算システムで9月末サービスインを目指す
広島信用金庫 手作業による煩雑で負荷の高い決算業務を一新
会計テンプレート導入例
行動規範である『ヒューマンで活力ある信用金庫を実現する』にのっとり、地域に欠かせない存在感のある金融機関を日指し躍進する広島信用金庫(以下、広島信金)。これまで手作業により決算業務を遂行していた同信金では、煩雑で負荷が高く、担当者個人への依存度が高かった業務遂行のあり方に懸念を覚えていた。将来的な制度改定対応や業務効率改善を念頭に、新システムの構築を決断した同信金が、新会計システムの碁盤として選択したのは、マイクロソフト社の WindowsServerプラットフォーム、SAP社のERPシステムR/3、そして、みずほ情報総研が提供する「金融業向け会計テンプレートfor mySAP ERP」だった。
手作業中心による負荷の高い決算業務、そして将来的な四半期対応等への懸念

現行の決算システムが抱える課題について、広島信金 常勤理事総合企画部長の味呑(みのみ)文雄氏は、「担当者がExcelベースで作り込んだ決算システムを使用しています。まさに本人が何ヵ月もかけて作り込んだというものです。このため、運用、メンテナンスには非常に大きな負担がかかっていました」と語る。
決算に用いる各種の元データは、信金セントラルホストと呼ばれる共同のメインフレーム上にあり、決算にあたっては、ここから手作業でデータを抽出、 Excelフォームに入力するといった手順が取られている。決算用のドキュメントも複数のExcelシート上に展開され、それぞれが複雑に関連し合っているため、通常の運用だけでなくメンテナンスにあたっても非常に大きな負荷がかかっていた。
職人芸のように担当者個人に依存した現行の連用に対する懸念、たとえば、担当者の人事異動も難しい状況や、将来的な四半期開示などへの対応も考慮し、新システムの構築を決断、その基盤を模索し始めた。
05年度から開始される減損会計に向け04年7月に実施された、みずほコーポレート銀行との打ち合わせの席で、「会計テンプレート」の存在を知った同信金では、早速検討に入り、新システム基盤としてのR/3と共に、その採用の決定に至った。
Windowsプラットフォーム採用への懸念は無し
全世界におけるR/3のプラットフォームとして、Windowsのシェアが既に7割を超えており、さらに、その約7割がデータベースにはSQL Serverを採用しているという事実については認知していなかった味呑氏だが、「Windows採用においての懸念はありませんでした」と語る。この背景には、現業務に関わる各担当者が既にその日々の作業でWindowsを駆使しており、さらに、今度は営業店でもWindowsをペースとした業務運営が決定していたことがある。
広島信用金庫 本番環境システム構成
| 環境 | サーバー | 項目 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 本番 | R/3サーバー | OS | Microsoft Windows 2003 Server |
| R/3 | SAP R/3 Enterprise 4.70 | ||
| DB | Microsoft SQL Server 2003 |
こうして、04年の7月に実施されたみずほコーポレート銀行との最初の打ち合わせから約5ヵ月を経過した04年12月には、みずほ情報総研からのシステム導入を決定し、設計作業が開始された。
効率化だけでなく、情報の連携により「数字がつかめる」決算システムを実現

システム化の目的について、総合企画部 主計課 課長の田坂篤資氏は、「当初は手作業から脱却し業務の効率を上げるといった点に期待しますが、最終的には、主計担当が決算に関わるさまざまな数字を瞬時につかむことができればと考えています」と語る。
前述の通り、現行の決算システムは、各担当者のPC上に展開されている。そして、これらの情報は連携していない状況にある。今回のシステム化により、これらが連携することで、決算業務の生産性向上を図ることができるだけでなく、主計担当による数億把握がより迅速、かつ正確になることも期待効果のひとつである。
「今後、減損会計となりますと、償却資産があって、店別の収益があって、評価があってという具合にその複雑さが増します。主計担当がこれらを一望できる仕組みが必要不可欠となってきたのです」(味呑氏)。
今年9月末に新システムのサービスイン 06年3月期決算で新システムへ一本化
新システムにおけるシステム構成は、R/3EnterpriseのプラットフォームとしてWindows 2003 Server、さらにDBMSとしてSQL Server 2003を採用。製造業などを中心にR/3導入の多くのケースで豊富な実績のあるマイクロソフト社製品を基盤としたシステム構成となっている。
新システムのサービスイン時期については、今年9月末を想定。9月未の中間決算について現行の手作業による計算と、新システムによる計算の両方を実施し、これらの結果を突合。実施結果が一致し新システムに問題がないことが確認できれば、06年の3月期の決算から新システムへの一本化が行われる予定となっている。
今後の展望:今回開発のシステムを核に、新たなソリューションを展開していく
今回の新システムでは、決算業務部分に加え、管理会計業務がシステム化の対象となっている。R/3の標準機能と会計テンプレートを活用することで、直近の目標である06年3月期決算の無事完了を目指す。
当面は、現在進行するこのシステム化に注力する同信金だが、一方では、既に将来的な展開をその視野に入れている。内部的な効率化から一歩進めたサービスレベルのさらなる向上を目指し、「今回の会計システムを核として、新たなソリューション・サービス機能を拡張しかなければならないと思っています」と語る味呑氏の発言には、「ヒューマンで活力ある信金を実現する」という同信金の姿勢が如実に表れている。
※本稿は、日本金融通信社刊の金融IT情報誌『FIT』2005年夏号に掲載されたものを転載しています
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