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価値ある場の育成には優秀なファシリテイターへの支援が不可欠

2003年12月2日 システムコンサルティング部 吉川 日出行

顧客ニーズの多様化が加速する中で、製造業を中心に顧客の声を商品に活かすことが重要視されており、顧客の声を拾い上げるためのIT投資が拡大している。顧客の声を拾う方法としては、「アンケートによる顧客の声の分析」や「サポートセンターなどに寄せられる問い合わせ記録のデータマイニング」などが従来から利用されているが、もっとダイナミックかつ詳細に顧客の要望をつかむ方法として、ホームページなどを活用した顧客との知識交換コミュニティの運営がある。

ここ数年の間に、いくつかの企業がインターネット上にコミュニティを設けて顧客と社内の商品企画やサービス開発者をつなぐ試みを行った。また、消費者一般の求めているニーズを吸い上げて商品化企画を作成し、メーカーへ提案するといった新しいビジネス形態を模索するベンチャー企業も生まれてきている。彼らが狙っているのは、顧客が潜在的に保有している現状製品への不満点を元に、新しい商品ニーズの掘り起こしを行い、それを新製品の開発や新製品の需要動向の把握に応用する効果である。

こういった消費者参加型の知識交換コミュニティは、基本的には従来ある掲示板や会議室と呼ばれるシステムにいくつかの機能拡張を行うことで実現される。消費者はコミュニティサイトにユーザ登録を行い会議室で自由に製品に関する意見を発言でき、企業内の担当者はそういったアイデアから新しい発想を行うのである。こういったコミュニティが通常の掲示板と異なるのは、より活発な議論を促すために、重要度や更新頻度の高いテーマを優先的に表示したり、時々の議論に対して賛否の表明をさせやすくしているのである。

当然ながら、最近ではただ単純にコミュニティサイトを設立するだけではヒット商品の開発にはつながらない。ネットワーク上での議論は一般に発散しがちである。この状態で放置していると一部の熱狂的な発言者によって議論の方向性を支配され、結果として開発された製品は、結局マニアと呼ばれる一部少人数の人間にしか支持されない代物になりがちである。

したがって議論をある程度の枠組みで収束させるためには、議論の方向性をリードしたり適当なタイミングで投票などを行って議論の集約を図るような役割の支援者=ファシリテイターが必要である。これはまさに現実の世界の会議において、その会議の生産性が優秀な議長や招集者が存在したかどうかに左右されることと同じだろう。支援者は議論が発散しないように要所要所で議論の方向性を明確にするとともに、参加者から発せられる脱線した話題や否定のための否定意見といった障害物を取り除く役目を担うのである。またネットワークならではの「荒らし」といった誹謗中傷に対応するのもファシリテイターの役目となる。優秀なファシリテイターの確保は容易ではないため、主催する企業以外から広く公募を行ったり、社外に業務委託するということを試みる例もあるようだ。

知識交換コミュニティ、すなわちナレッジマネジメントにおいて重要な要素である「場」の運営において、価値ある「場」の維持のためには人間系の努力が欠かせない。そのうえで、「発言の分割や統合」「評決の実施と集計」「スレッド構造のメンテナンス」といった機能を充実させるなど、ITを活用していかにファシリテイターを支援するかが不可欠な課題となっている。

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