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プロセスの標準化プラスαで実現するシェアード化

2012年1月24日 法人ソリューション第3部 栗本 亜実

シェアード化をめざす背景の変化

ここ数年、お客さまから、業務のシェアード化の相談を受けることが多い。シェアードサービスについては、弊社でも数々のお客さまへの導入をサポートしてきたが、最近のお客さまの話を聞いていると、どうも従来の導入背景とは変わってきているようだ。

これまでは、給与計算など、グループ企業内で対応手順がほぼ共通化されている業務を対象に、効率化やコスト削減を狙いとしたものが多かった。しかしながら、東日本大震災以降のBCP(事業継続計画)の見直しやより効率的な経営管理情報の把握などの必要から、業務の定型化が難しい経理業務のシェアードサービスに対する関心が高まっているようだ。また、経理部門を中心とした業務の見直しとともに、情報システム部門主導のシステムのシェアード化についても検討され始めているのではないだろうか。

期待される効果

経理業務におけるシェアード化の目的は、業務運営の効率化や、それによる戦略的業務への体力シフトを図るといった一般的なシェアード化の効果に加え、情報管理方法の標準化が図られることから、精度の高い経営情報基盤が構築できるといったメリットもある。また、BCP(事業継続計画)の面では、規模の小さい企業では、コスト面、体力面の制約から、冗長化や災害復旧計画といったシステム対策が手つかずとなるケースが多いが、親会社が主導してグループで共通の指針を立てることで、これらの対策を講じることもできる。グループ一体での対応という観点では、いずれ適用されるであろうIFRSのような法制度対応にも効果的だ。コスト負担の大きい対応をグループで一括して取り組むことでTCOの抑制にもつながる。

しかし、こうしたメリットがある一方で、実際にシェアード化をめざし、グループ全体で統一システムを導入した利用ユーザに聞いてみると、課題も生じているようだ。

越えなければならない障壁

シェアード化実現の方法としては、グループで統一のシェアードシステムを導入し、そのシステムに合わせることで業務プロセスを標準化していくというのが一つの方法である。ERPパッケージを利用して体制や業務の見直しを実現する大企業も多い。しかし、多種事業で構成される企業グループでは、移行後の統一システムの方がユーザサイドの労力が増化しまうことがある。たとえば、大規模な企業で求められる二重三重の段階を踏む承認は、小規模な組織では新たな負担となるだろう。規模が小さければ、承認者不在時に代理承認もできない。また、個別の企業でシステム化されていた処理が標準プロセスの対象外になれば、手動での膨大な体力を要することになる。プロセスの共通化を目指すがために、個々の会社の業務が標準プロセスからマイナスの影響を受けてしまうのだ。

また、システムの導入以前に、もう一つ越えるべきハードルがある。標準プロセスの統一のためには、グループ内の各企業の担当者との合意を形成しなければならない。各企業で長年勤めてきた担当者の中で、「独立性を保ちたい、自分達のやり方が否定されるのでは」といった思いが先行し、複数の企業での適用を前提としたプロセスに拒否反応を示されると、標準化は非常に困難なものとなってしまう。

シェアード化において部分最適化は極力避けるべき要素だが、業態や会社規模によって適切なプロセスがあるというのが実情ではないだろうか。たとえば、請求書の発行を現場部門、経理部のどちらが行うのか。請求書を販売管理システムから発行し、売上データを自動取り込みする会社もあるだろう。また、承認手順について、経理部門による一括承認もあれば、現場部門で承認を完了させる方法もある。営業経理担当が現場部門におかれている会社等、実態は様々である。適用対象が多様であれば、標準プロセスは、個々の企業にとって要件不足となったり、実態と乖離したプロセスとなることもある。当然、この違いのすべてを人的に対応すれば過度の負担が生じてしまう。

シェアード化実現のためのポイント

標準プロセスだけでシェアード化を推し進めれば、得られた効果を新たな課題で相殺してしまうこともあるかもしれない。このような状況においては、標準のプロセス以外に個社別のプロセスも設定可能であるような柔軟なシステムの活用が有効な解決策となるはずだ。

シェアード化のメリットを最大限享受するためには、業務の見直しを伴う業務プロセスの標準化が大前提ではある。しかし、標準プロセスでカバーできない部分は、個社別に最適な手順を残すといった視点も必要だ。プロセス統一そのものが目的となってしまわないよう“プロセス標準化プラスα”の仕組みを構築することが、シェアード化を成功へと導くのではないだろうか。

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