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欧州最大の消費国 再生可能化を推進

[連載]世界新エネルギー地図 第1回:ドイツ

  • *本稿は、『日経エコロジー』 2010年11月号 (発行:日経BP社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 環境・資源エネルギー部 次長 冨田 哲也

正式名称:ドイツ連邦共和国
首都:ベルリン GDP:2兆4,091億ユーロ(2009年)
人口:約8,230万人 面積:35万7,021平方キロメートル

ドイツでは2020年までの原子力発電の段階的廃止を2001年に決定し、新たなエネルギー源の確保とCO2削減のため、再生可能エネルギーの普及を進めている。

ドイツは、欧州最大のエネルギー消費国であるが、石油や天然ガス資源に恵まれておらず、長年、石炭に依存し、国内の石炭産業を保護する政策を推進してきた。現在はこれらの保護政策を見直し、石炭への依存度は低下しつつあるが、現在も一次エネルギー供給に占める石炭の比率は22.7%と高い水準にあり、発電によるCO2排出量も多い。

1990年時点で、ドイツの一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合は1.5%に過ぎなかったが、2009年には9.1%まで成長した。風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、バイオディーゼル、バイオガスなどは、世界的にも特筆すべき優遇策によって、世界一あるいは欧州一のレベルに達する。

再生可能エネルギーへの助成は、雇用拡大の面でも期待できる分野だ。2009年の当該分野の雇用効果は、30万人を超えたとドイツ政府は発表している。

2009年の一次エネルギー供給(3.19億石油換算トン)での再生可能エネルギーの位置付け

2009年の一次エネルギー供給(3.19億石油換算トン)での再生可能エネルギーの位置付け

出所:IEA(国際エネルギー機関)統計を基に作成

風力は欧州最大

ドイツは、欧州最大の風力発電の導入国で、2009年末時点の発電規模は2,578万kWであり、電力需要の7%程度を賄う。政府は2000年から再生可能エネルギー発電の固定価格買い取り制度を本格化させ、風力発電の導入が一気に活発になった。

2002年には、発電規模が1,000万kW、2006年には2,000万kWを超え、米国を抜いて世界一となった。現在は米国、中国に次ぐ3位に後退したが、金融危機の影響が出た2009年にも192万kWの発電設備が完成するなど、増加傾向は続いている。

一方、ある程度、導入が進んだことから、北部を中心とする適地では新規導入の速度は落ちている。今後は洋上への展開と大型で効率の良いものへの既存発電機の更新が進むとみられる。

洋上風力発電については昨年、ドイツ初の本格的な洋上風力発電事業である、Alpha Ventusプロジェクトの運転を開始。このプロジェクトは、大手ユーティリティ3社(EWE、E.ON、Vattenfall)による共同事業で、ボルクム島から45kmほどに位置する北海洋上に、5,000kWの風力発電機を12基建設した。

ほかにも多くの建設計画が進んでおり、年内には30万kW程度の洋上風力発電が完成する予定だ。ドイツの風力エネルギー協会は、2020年までに1,000万kW規模の普及を見込んでいる。

2009年の再生可能エネルギーによる発電実績(9万5,267GWh)の内訳

2009年の再生可能エネルギーによる発電実績(9万5,267GWh)の内訳

(注)地熱発電は0%
出所:IEA統計を基に作成

太陽光発電では世界一

売電価格を大幅に引き上げる政策を2004年に実施したことで、太陽光発電の導入も急速に進んだ。2005年には日本を抜いて世界一の発電規模になり、以降も導入は急ピッチで進んでいる。2009年末の導入規模は、系統連系しているもので980万kWに達し、これは世界全体の太陽光発電の約半分に相当する。

日照条件で考えると、ドイツは必ずしも太陽光発電に有利な国ではないが、20年間固定価格での買い取りを法律で保証しているため、電力の確保だけでなく、確実に回収できる投資手段として導入が進んだ。

市場の拡大により、太陽電池産業も発展した。代表例が1999年に設立されたQセルズ社である。

旧東ドイツに工場を立地することで、助成を得ながら毎年生産能力を拡大し、2007年にはシャープを抜いて世界一の太陽電池メーカーになった。その後、米国や中国のメーカーに売り上げでは追い抜かれたものの、マレーシアに工場を設立するなど堅調に成長し続けている。

多様なバイオマス発電が進む

バイオマスエネルギーの導入も進む。一般廃棄物に加え、多様なバイオマス発電を各地で導入している。

木質原料を直接燃焼させて発電するもの、家畜の糞尿やとうもろこしなどを原料にメタン発酵させバイオガスを生産して発電するものなど、様々な種類が普及。合計発電量は風力発電に肩を並べる。

政府は、天然ガスの原料としてバイオガスの利用を促進しており、2030年の天然ガス消費の1割をバイオガスで供給するという目標を設定済みだ。天然ガスパイプラインへの供給用プラントを国内各地に建設しており、2009年時点で29施設が完成し、今後も増加していく予定である。

交通機関の燃料としてのバイオ燃料の消費量は、伸び悩みがみられるものの、欧州一の水準を維持する。2009年の消費量はバイオディーゼルを中心に289万石油換算トンとなった。

2020年にCO2を40%削減

ドイツ政府は、温室効果ガス排出量を1990年比で、2012年までに21%削減する目標を設定していたが、再生可能エネルギーの急速な普及も手伝って、この目標はクリアした。同国は2020年には40%まで削減する目標を新たに設定しており、これを実現するため再生可能エネルギーによる発電目標も相当にハードルの高いものになっている。

2009年で再生可能エネルギーの比率が電力供給の16.1%に達しているが、2020年には30%以上を目指す。燃料分野でも、現状の導入規模をはるかに上回る目標値を設定した。

度重なる政権交代によって取り組み姿勢には温度差が生じたが、地球温暖化対策やエネルギー政策は、一貫して同国の政治・経済の主要テーマであり続けている。これまで再生可能エネルギーによる電力に対する固定価格買い取り制度(FIT)などの政策を他国に先んじて実施してきたが、国民の費用負担感も高まってきた。原子力発電の停止時期の延期問題と並んで、再生可能エネルギー支援への動向は、世界中が注目するテーマになっている。

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