世界最大のエネルギー消費国 石炭偏重から風力開発に注力
[連載]世界新エネルギー地図 第14回:中国(1)
- *本稿は、『日経エコロジー』 2011年12月号 (発行:日経BP社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。
みずほ情報総研 環境・資源エネルギー部 次長 冨田 哲也
正式名称:中華人民共和国
首都:北京 名目GDP:約4兆9,000億ドル
人口:約13億人 面積:約960万平方キロメートル
中国は2010年に米国を抜いて世界1位の1次エネルギー消費国になった。世界のエネルギー消費量の2割を占める。2000年時点では日本の2倍ほどの消費量だったが、現在は5倍の規模に迫る。それでも人口1人当たりの消費量で見ると、まだ半分以下だ。この旺盛な消費をどのように賄っていくかは、中国の大きな課題でもあり、世界中の注目が集まる。
これまでエネルギー源のほとんどを国内生産してきた。石炭がその中心で、1次エネルギーに占める割合は67.2%と極めて高い。輸入量も若干増えたが、国内生産量も消費増に追随して増え続けている。
自動車の急速な普及に合わせて石油の消費量も極端な増加傾向が続く。国内生産も拡大が続き、2010年には初めて、生産量が日量400万バレルを超えた。しかし、消費はそれ以上に増加し、日量900万バレルを超えている。しかし今後は、国内生産量の大きな伸びは期待できないことから、国営石油会社は世界各地で油田権益の取得に積極的だ。
天然ガスはシェアこそ小さいが、ここ数年は20%を超える伸び率で推移している。2009年には日本の消費量を超え、アジア最大の消費国になった。国産で賄ってきたが、現在は国内5カ所でLNG(液化天然ガス)受け入れ基地が稼働。中央アジアからはパイプラインによる輸入も始まった。石炭をガス化した合成天然ガスの増産や炭層メタンの生産も始まり、最近ではシェールガス開発への投資も動きだした。極端に高い石炭依存度を抑えるため、今後も天然ガス転換が進みそうだ。
1次エネルギー供給(22億5,700万石油換算トン)での再生可能エネルギーの位置付け(2009年)

出所:国際エネルギー機関(IEA)統計を基に作成
※廃棄物にはすべての廃棄物を含む
電源構成も石炭火力比率が圧倒的に高く、発電量の約8割を賄う。次いで多いのは水力発電で、2009年の発電実績では16.7%に達した。水力発電の適地は西部に多く、四川省や湖北省で盛んだ。
なかでも湖北省・三峡ダムの水力発電所は、70万kW発電機を26基設置。合計出力1,820万kWと世界最大の規模だ。建設にあたっては100万人を超える住民が移住を余儀なくされ、生態系の破壊などを指摘する反対意見も多かったが、経済成長を支える電源であることは事実である。
しかし、現在も水質悪化など巨大ダムの副作用に対する強い懸念が残る。周辺地域の干ばつや洪水は、ダムの影響ではないかとの指摘もある。三峡以外にも大規模な水力発電所を建設できる適地があるが、雲南省怒江では三峡同様の大規模発電事業の推進について議論が続く。
再生可能エネルギーによる発電(64万5,365GWh)の内訳(2009年)

出所:IEA統計を基に作成
※廃棄物にはすべての廃棄物を含む
水力を除くと、再生可能エネルギーでは風力発電が最も普及している。昨年は1,650万kWの設備が完成、累積導入量は4,229万kWに達し、米国を抜いて世界1位に躍り出た。
風力は内モンゴルと河北省、遼寧省、吉林省、黒竜江省など、北部の風況に恵まれた地域で普及。今後は南東部の海岸地域、そして洋上風力への期待も高まる。普及の初期段階では海外メーカーから設備を輸入していたが、今では国産化が進み、世界を代表する製造拠点になった。国内メーカーの華鋭風電(シノベルウインド)、金風科技(ゴールドウインド)、聯合(ユナイテッドパワー)、中国東方電気(ドンファンエレクトリック)の4社は世界のトップ10に入り、輸出にも力を入れ始めた。
陸上で世界1位になった経験を生かし、洋上でも世界を先導する意欲を見せる。昨年7月、上海万博の開催に合わせて上海東海大橋の近くに中国初の洋上風力が完成。3,000kWの風車34基が並ぶ(計10万2,000kW)。これに次いで昨年10月には江蘇省沿岸で風力発電事業の入札を実施、洋上風力の開発が本格化した。前述のメーカーも洋上風力に適した大規模発電機を開発。例えばシノベルは既に5,000kW、6,000kW機をラインアップに加えた。
今後も、発電規模では陸上が中心になるものの、沿岸部沖合は電力の大消費地に近いということもあり、供給力の増強が望まれる。政府は2020年には風力発電全体で1億5,000万kWの普及を目指すが、そのうち3,000万kWは洋上を見込む。なかでも江蘇省は2020年に945万kW、山東省では700万kW、浙江省では370万kWと、大規模な計画が目立つ。
今では世界最大の普及規模になった中国の風力だが、送電網が十分でないまま建設した例もあるという。野心的な導入目標を達成するには、送電網の整備も同時に進める必要があろう。(次回に続く)
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