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太陽電池モジュールのリサイクル・リユースの動向(1/3)

  • *本稿は、『電気評論』 2011年12月号 (発行:電気評論社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 環境・資源エネルギー部 河本 桂一

1. はじめに

太陽光発電システムは、エネルギーセキュリティの向上と地球環境問題への対応を両立することが可能な技術であるとともに、わが国が世界に誇る技術の一つでもある。

太陽光発電システムの導入拡大は、世界的に見ると、1990年代後半に緒につき、2000年代中庸以降、欧州各国で導入された固定価格買取制度(Feed-in-Tariff)等により、急速な導入拡大が進展している。

日本における太陽光発電システムは、世界に先んじて、電力系統との連系が可能となった1990年代前半から政府による支援策とともに徐々に導入が始まり、2000年代中庸にかけ、住宅用を中心とした市場が拡大した。2005年の住宅用太陽光発電システム導入補助金の終了とともに、導入拡大の伸びが一時停滞したが、2009年に再開された導入補助金および新たな枠組みによる余剰電力購入制度により、住宅用太陽光発電システム市場は再び活況を帯びている。また、2011年8月に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」によって、住宅用以外の太陽光発電システム市場に対する期待も高まってきている。

太陽光発電システムは、発電用燃料を使用しないクリーンな技術である。製造段階に要するエネルギーは発電開始後数年で回収することができ、CO2排出原単位も化石燃料発電、あるいは日本の電力会社による平均電源構成と比較して十分に小さいことが既に示されている例えば1)

環境保全や資源有効利用の観点から、また、クリーンな技術である以上、一定期間の使用を終えた太陽光発電システム(耐用年数への到達、あるいは何らかに理由によって撤去される場合)は、そのまま廃棄処分をするのではなく、最大限、製品あるいは資源として有効利用することが望ましい。

太陽光発電システムの核となる太陽電池モジュールの耐用年数は20年とも30年とも言われ、現時点では使用後処理に対するニーズは希少であるが、導入拡大初期(1990年代)から20年以上が経過する2020年以降には大量の処理需要が発生する可能性がある。一方、耐用年数が長い製品であるが故、太陽電池モジュールは耐久性を高めるための強固な加工処理が施されており、資源としての有効利用を前提とした分解・リサイクルが非常に困難な構造となっている。

現在、太陽光発電先進地域である日本やヨーロッパでは、太陽光発電、とりわけ太陽電池モジュールのリサイクル技術の開発や、使用後の適正処理を図るために社会システムの検討が進められている。

本稿では太陽電池モジュールのリサイクル・リユースに関する動向を紹介する。

2. 日本における動向

日本における太陽電池モジュールリサイクルに関する代表的な研究開発として2001年から2005年度にかけてNEDOにより実施された「太陽光発電システムのリサイクル・リユース処理技術等の研究開発」がある。この研究開発では、結晶Siおよび薄膜太陽電池モジュールから太陽電池セル原料金属、あるいはガラスを回収し、リサイクルするための要素技術の開発が実施された。その後、この研究開発を継承した表立ったプロジェクト等は見られなかったようであるが、2010年度より再びNEDOによる研究開発「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」が開始された。この新たな研究開発では、2005年度までに得られた成果を踏襲し、商業的に実用可能なリサイクルプラントとしての技術を築き上げることを目的としている。また、あわせて開発技術が実用化された場合に必要となる社会システムの検討も実施している。

このような太陽電池モジュールリサイクルに関する研究開発のほか、何らかの理由により撤去されることとなった太陽電池モジュールを回収し、リユースする動きも見られ始めている。

また、日本の業界団体である太陽光発電協会(JPEA:Japan Photovoltaic Energy Association)においても、太陽電池モジュールのリサイクル・リユースに関する検討が進められている。

2.1 太陽電池モジュールリサイクルに関する研究開発

(1)「太陽光発電システムのリサイクル・リユース処理技術等の研究開発」2)

この研究開発では、太陽電池モジュールのリサイクル技術、インバースエンジニアリング、リサイクルを進めるための社会システム構築などにおける課題の解決を目的とし、以下の研究開発が行われた。

  1. 結晶Si系太陽電池モジュールのリユース・リサイクル技術開発
    • *現行モジュールのリサイクル技術開発
    • *リサイクラブルモジュールの研究開発
  2. CIS系薄膜太陽電池の低コスト化のためのリユース・リサイクル技術開発
  3. 太陽電池モジュール用ガラスのリサイクル技術開発

研究開発の目標として、廃家電や廃自動車等の既存製品並みの処理コスト(10円/W)とリサイクル率(重量比80%再生)の達成が掲げられた。

これらの技術開発と並行し、「適正処理のための社会システムの研究」が実施され、必要な社会システム構築に向けて必要となる事項が整理された(表1)。また、住宅用太陽光発電システムを対象とした「撤去マニュアル(案)」が作成された。

表1 太陽電池モジュールのリサイクル・リユースシステム実現に向けた必要事項2)
太陽電池モジュール設計ガイドライン
  1. 太陽電池モジュールの設計段階からリサイクルし易いモジュール構造にする。
  2. モジュール製造メーカーが対応する要件である。
    • (1)環境負荷物質を使用しないモジュール
    • (2)Al枠を分解しやすいモジュール
    • (3)太陽電池セルを分離しやすいモジュール
    • (4)モジュールサイズの規格化
撤去および回収ガイドライン
  1. 太陽光発電システムから太陽電池モジュールの撤去、回収を確実に低コストで行う。
  2. モジュール製造メーカー、太陽光発電システム施工・販売業者が対応する要件である。
    • (1)簡易設置
    • (2)廃棄太陽電池モジュールの引取り・回収システムの構築
    • (3)リサイクル処理ガイドライン
リサイクル処理ガイドライン
  1. 回収した太陽電池モジュールを低コストでリサイクル処理できる技術と体制を築く。
  2. 太陽光発電システム関連業界(団体)が国と協力して対応する要件である。
    • (1)太陽電池モジュールの低コストなリサイクル処理技術
    • (2)既存業者を活用した処理ルートの確立
    • (3)リサイクル・リユースロードマップ
    • (4)Si回収のためのプラント建設

(2)「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」3) 4)

太陽光発電システムのリサイクルにおける低コスト化、共通処理化等を目的とした汎用リサイクル処理技術を確立するとともに、回収方法やリサイクル義務化、費用負担方法等を検討し、新たな社会システムの構築を国に対して提案することを目的とし、2010年に開始された研究開発プロジェクトである。

財団法人北九州産業学術推進機構を中核機関とし、北九州市、昭和シェル石油、新菱、みずほ情報総研、北九州市立大学との連携により、表2に示す研究開発目標を2014年度までに達成することを目指している(図1、図2参照)。

研究開発目標達成後は、太陽光発電システムメーカーを中心とした関連機関と、本格的なパイロットプラントを建設・運営する組織の設立、処理施設の安定稼動に必要なノウハウを蓄積し、普及型のビジネスモデルを平成32年までに構築し、全国・アジアへの普及を促進していくことを想定している。

表2 「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」の目標4)
低コストかつ汎用リサイクル処理技術の開発
  1. 実証プラントを設置し、各メーカーによって、構造・材料が異なる太陽電池モジュールに対応可能な汎用処理技術を確立する。また、処理プロセスの自動化等の工程設計についても検討し、処理量20MWで10円/W、200MWで5円/Wの低コストを実現する技術を確立する。
  2. この検討結果をもとに、PVリサイクル処理センターの建設を前提にしたパイロットプラントの設計を行う。
広域対象のPV システム汎用リサイクル処理に必要な社会システムの提案
  1. 北九州市に、九州・中国地方を対象とした広域リサイクル処理センターの設置を想定し、消費者宅からの集荷方法や中継所の設置形態等の回収方法をはじめ、廃棄物処理や個別リサイクルに関する法制度の整備、規制緩和等の検討を行い、国に対して提案を行なう。

図1 「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」における太陽電池モジュールの処理工程案4)

図1


図2 「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」の実施スケジュール4)

図2

広報室
03-5281-7548

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