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油田衰退で低炭素化を模索 豊富な地熱で再エネ普及目指す

[連載]世界新エネルギー地図 第16回:インドネシア

  • *本稿は、『日経エコロジー』 2012年2月号 (発行:日経BP社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 環境・資源エネルギー部 次長 冨田 哲也

正式名称:インドネシア共和国
首都:ジャカルタ 名目GDP:7,067億3,500万ドル
人口:2億3,760万人 面積:192万2,570平方キロメートル

インドネシアの人口は東南アジアで最も多く、エネルギー消費量も最大である。1次エネルギーの供給量は石油換算で約2億トン。1人当たりでは日本の2割強の水準にとどまる。しかし近年は、電力を中心にエネルギー消費量が急増。新たな電源やエネルギー資源の開発が急務になっている。

インドネシアはアジアを代表する産油国だったが、近年は原油生産量が減少。2004年には純輸入国に転じ、2008年にはOPEC(石油輸出国機構)も脱退した。

原油の最大の輸出先は日本である。低硫黄の原油が豊富なことから、日本では石油精製に使うほか、直接燃焼する原油生だき用火力発電の燃料に利用している。

原油に加え、LNG(液化天然ガス)も日本が最大の輸出先で、日本の火力発電や都市ガス供給に貢献してきた。ところが天然ガスの生産量が伸び悩んでいるうえ、国内消費量も増加しているため一部の地域では不足傾向にある。

このため、日本向けのLNG輸出を大幅に減らす一方、ジャワ島やスマトラ島では、LNG受け入れ基地の建設計画を進めている。それでも、スラウェシ島など、地域によっては生産を増やす余力が残る地域もある。新規の輸出プロジェクトが立ち上がる見込みだ。

原油や天然ガスの供給量の増加はあまり期待できないが、近年の電力需要増には石炭生産量を拡大させ、石炭火力の発電量を増加させることで対応してきた。現在も石炭火力発電所の建設計画が相次いでいる。

水力発電は、1次エネルギーに占める割合が1.4%にとどまる。国全体では7,500万kWもの大規模な発電が可能とみられるが、適地が需要地から遠いことや、地元住民の反対もあってあまり進んでいない。政府は小規模の発電所の建設を中心に推進している。

原子力発電の建設計画も古くから検討しているが、ジャワ島中央部の建設候補地で火山噴火や巨大地震のおそれから反対運動が広がり、実現に至っていない。現在は別の候補地の検討が続くが、福島原発の事故の影響もあって、実現には相当の時間が必要とみられる。

1次エネルギー供給(2億200万石油換算トン)での再生可能エネルギーの位置付け(2009年)

グラフ

出所:国際エネルギー機関(IEA)統計を基に作成
※廃棄物にはすべての廃棄物を含む


政府は京都議定書に批准し、削減義務を負わないものの、2020年までに2005年比で温暖化ガスを7%削減する目標を設定。途上国による具体的な目標設定は珍しく、気候変動問題に取り組む途上国のリーダーとして、強い先導力を発揮しようとしている。実現のため、政府は今後、1次エネルギー消費量に占める石油の割合を下げるとともに、国内資源として期待できる石炭に加え、再生可能エネルギーの割合を大幅に引き上げる意向である。

化石燃料に恵まれ、補助金政策でエネルギー価格を安価に抑えていたことから、再生可能エネルギーはあまり普及していない。とはいえ、地熱発電は例外だ。インドネシアは世界有数の火山国で地熱資源に恵まれ、世界のおよそ4割の地熱資源があるとの分析例もある。国内各地で地熱発電所の建設が進み、2010年の発電能力は約120万kWになった。

これは米国、フィリピンに次ぐ世界3位の規模。政府は2025年までに900万kWにまで伸ばす計画で、実現すれば世界最大の地熱利用国となる。

地熱発電所の大半はジャワ島に立地しているが、スマトラやスラウェシ島にも立地し、現在も各地で立地計画が進む。日本企業による地熱発電技術のシェアは世界でも高く、インドネシアでも多くの実績がある。現在も新設プロジェクトを受注するなど発電所建設で日本企業に期待が集まる。

政府は再生可能エネルギーでも特に地熱を推進しているとみられ、国営電力会社が地熱発電所から買い取る電力価格を、ほかの電源よりも優遇している。

再生可能エネルギーによる発電(2万676GWh)の内訳(2009年)

グラフ2

出所:IEA統計を基に作成
※廃棄物にはすべての廃棄物を含む


一方、欧米を中心に急速に普及し始めている太陽光発電や風力発電の導入はこれからだ。インドネシアは数多くの島から構成され、送電網の整備が困難な地域が多く、村落電化の方法として、独立型太陽光を古くから採用してきた。最近では国内でも太陽電池の生産が始まったことから、大規模発電所も設置が始まりそうだ。

バイオマス(生物資源)は主に薪炭として使っているが、ジャトロファ栽培など新たなバイオ燃料生産に向けた取り組みも始まった。

温暖化ガス削減目標の実現には、再生可能エネルギーのいっそうの普及と森林再生が必要だ。今後、どのような具体策を採るか、注目が集まる。

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