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生活時間からみた単身世帯の「社会的孤立」の状況

  • * 本稿は、『共済新報』 2009年10月号(発行:社団法人共済組合連盟)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

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社会保障 藤森クラスター 藤森 克彦

わが国では単身世帯が増加しており、今後もその傾向が続くことが予想されている。既に高齢単身女性の増加は大きな課題として認識されているが、今後は50代以降の中高年男性でも単身世帯が大きく増加していくとみられている(拙稿「単身世帯の増加と求められるセーフティネットの再構築」本誌2008年11月号・12月号参照)。

ところで単身世帯は、同居家族がいないので、別居家族や友人・地域の人々などとのネットワークをもたないと孤立しやすい。特に、今後増加していく未婚の単身者は、配偶者と子供がいないので、友人や地域社会とのつながりが一層重要になると思われる。

無論、他者との付き合いがなくても孤独感や寂しさを感じない人はいる。逆に、家族と一緒に暮らしていても孤独を感じる人もいる。主観的にどのように感じるかは個々人によって異なる。

また、物質的な側面においても、健康なうちは1人で生活することにさほど不自由を感じなくなっている。例えば、コンビニエンス・ストアなどの整備によって、料理が苦手な単身男性であってもあまり食事には困らない。

しかし、いざというときに支えてもらえる人的ネットワークをもっていることは重要だ。例えば、病気や要介護状態に陥った場合に周囲の支えがなければ、手遅れになることもある。一概に論じることはできないが、近年マスコミで取り上げられる「孤立死(孤独死)」のいくつかはその典型であろう。

本稿ではこうした課題を考える前提として、単身世帯における「社会的孤立」の現状を生活時間から考察していきたい。「社会的孤立」には一義的な定義があるわけではないが、ここでは家族、友人、近隣の人々などとの交流が乏しいことと定義する。寂しさ、孤独感といった主観的な側面よりも、人々がどの程度、家族や家族以外の人々と交流しているかといった客観的な側面を中心に考察していく。

具体的には、まず高齢単身世帯について、一日あたりの生活行動時間から社会的孤立の状況を探っていく。次に、現役世代(65歳未満)の単身世帯の社会的孤立について、同じく生活時間調査からみていく。そして最後に、国際的にみた日本の社会的孤立の状況を概観する。

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1. 高齢単身世帯における社会的孤立

まず、一日あたりの生活行動時間から、高齢単身世帯の社会的孤立の状況をみていこう。総務省『社会生活基本調査』は、国民の生活時間の配分状況などを調査し、国民生活の実態を明らかにしている。特に、65歳以上の高齢単身世帯については、一緒に行動した人の有無とその行動時間を共に把握できる。調査対象は全国の約8万世帯の世帯員であり、サンプル数が多く、単身世帯の生活時間を把握できる点で貴重な統計である。

以下では、高齢単身世帯の一日あたりの生活時間(週平均)について「一人で過ごす時間」「家族と過ごす時間」「家族以外の人と過ごす時間」に分けて考察していく。

(1)高齢単身世帯の「一人で過ごす時間」

65歳以上の単身世帯は、一日のうちどの程度の時間を一人で過ごしているのだろうか。睡眠時間も含めた一日あたりの「一人で過ごす時間」をみると、単身男性では20時間31分(睡眠時間を除けば12時間5分)、単身女性では20時間19分(同12時間2分)となっている(図表1)。つまり、高齢単身世帯の平均的な生活時間としては、一日24時間のうち睡眠時間も含めて85%を1人で過ごしていることになる。

ちなみに、高齢夫婦のみ世帯(夫が65歳以上、妻が60歳以上の世帯)に属する夫が「一人で過ごす時間」は13時間18分(睡眠時間を除けば4時間52分)となっている。単身男性よりも、一日当たり約7時間ほど「一人で過ごす時間」が短い。他方、高齢夫婦のみ世帯に属す妻の「一人で過ごす時間」は13時間20分(睡眠時間を除けば5時間21分)であり、単身女性よりも7時間ほど一人で過ごす時間が短くなっている。

高齢単身者は一人で何をしているのか

では、高齢単身者は、一人で何をしているのであろうか。睡眠時間を除いて、単身男性が費やす時間が最も長いのは、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」であり、一日当たり4時間となっている。単身女性も「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」が最長であり、一日当たり3時間17分を使っている。つまり、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」で「一人で過ごす時間(睡眠時間を除く)」の3割前後(男性33%、女性27%)を占めている。

なお、これは「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」に費やす時間がゼロであった人も合あわせた平均時間である。ゼロ時間の人を除いた「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の平均時間は、単身男性4時間42分、同女性3時間58分となる(総務省『社会生活基本調査』2007年、第51−2表)。

「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」に次いで、一人で過ごす時間が長いのは、単身男性では、「食事」(1時間36分)、「身の回りの用事」(1時間13分)、「休養・くつろぎ」(1時間14分)、「家事」(1時間8分)、となっている*1

一方、単身女性では、「家事」(2時間12分)、「食事」(1時間34分)、「休養・くつろぎ」(1時間28分)、「身の回りの用事」(1時間26分)、となっており、単身女性は、単身男性に比べて、「家事」の時間が1時間程度長くなっている。

(図表1) 一緒にいた人別の一日あたりの総平均時間 ― 65歳以上の単身世帯と高齢夫婦世帯 ―

(時間:分)

(図表1)一緒にいた人別の一日あたりの総平均時間―65歳以上の単身世帯と高齢夫婦世帯―

(注)
  1. 1.1日あたりの平均行動時間数で、行動しなかった人を含む全員についての平均時間であり、週全体を平均して算出したもの。
  2. 2.この調査は2006年10月14日から10月22日までの9日間のうち、連続する2日間を調査日としている。平日と土・日では、行動パターンが異なることが考えられるが、上記時間はその区別を設けずに、週全体から一日当たりの平均行動時間を示している。
  3. 3.「高齢夫婦」とは、夫婦のみ世帯のうち、夫が65歳以上、妻が60歳以上の世帯。
  4. 4.「近所」とは、徒歩で5分程度。
  5. 5.太字は、「高齢単身世帯」「高齢夫婦」の各々で、最も数値の高い値。
(資料) 総務省『平成18年 社会生活基本調査』2006年、第12表(週全体)により、みずほ情報総研作成。

  1. *1なお、この調査では、主な活動を尋ねており、二つの活動を同時にしていた場合には、主な活動を応えることとしているが、その判断は回答者に委ねられている。したがって、「テレビをみながらくつろいでいた」という場合には、回答者によって「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」とする場合もあれば、「休養・くつろぎ」とする場合もありうる。

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