指定管理者モニタリングに関するアンケート調査報告書
2009年12月 みずほ情報総研株式会社
本調査の目的と意義
政府は、これまで、いわゆる公共サービス改革に積極的に取り組んできており、その一環として市場化テストやPFI、そして指定管理者制度などの手法を制度化してきた。
このうち、指定管理者制度は平成15年の地方自治法改正により導入されたものであり、多様化する住民ニーズに効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理運営に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに経費の節減等を図ることを目的とした制度である(*1)。その特徴は、利用者である住民の視点にたった制度設計がなされているという点にある(*2)。端的にいえば、指定管理者制度は公の施設の管理運営を民間事業者に委ねるものであるが、これは決してそのサービス提供について行政が責任を免れるということではなく、行政は、民間事業者によって適正かつ確実なサービスの提供がなされていることを確認し、かつ、行政の責任において民間事業者が提供する公共サービスの水準を監視(測定・評価)することとされている(*3)。この一連の作業が、モニタリングである。
モニタリングは、公共サービスの安定供給と質の維持のために重要な意義をもっている。指定管理者制度では、民間企業の活用や複数年度にわたる指定、使用許可権限の付与など新たな措置が講じられている。その一方で、指定管理者の運営によっては、利用者に対する不公平な取り扱い、重大な事件・事故等の発生、住民サービスの低下、指定管理者の経営破綻によるサービス提供の中断など、好ましくない事態が生じる危険性を内在することとなった。そのため、地方自治法では、「指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない」(244条の2第7項)と定められたが、これは法が定める必要最低限の措置であり、これだけでは先に指摘した好ましくない事態の発生を回避することは難しいといえる。そこで、自治体の中には、協定において、より詳細なモニタリングについて定めたり、第三者によるモニタリングを実施するなどの試みがみられるようになっている。
モニタリングは、その過程において行政と指定管理者が密接なコミュニケーションを図ることで管理運営上の問題点を早期に発見し、必要に応じて改善の取り組みを行うことなどにより、住民サービスの向上及び経費節減に結びつくといった効果も期待できる。そのため、モニタリングでは、指定管理者のサービス内容や経理状況などについて監査を行うという視点だけではなく、行政と指定管理者とのパートナーシップを基礎として、両者が緊密なコミュニケーションを図りつつ課題を共有することで、市民サービスの向上と経費節減に向けた業務改善を行っていくことが重要となっている。
このような観点から、当社は、これまでモニタリングに注目し、実務上の課題点などを探るためアンケート調査等を実施してきた(*4)。今回、制度の導入から6年が経過し全国の自治体では指定期間が2巡目に入った事例や、再指定の手続きを進めている事例もあることから、今日におけるモニタリングの動向や、指定管理者制度の抱える課題を把握するため、再度、全国の地方自治体を対象にアンケート調査を実施した。
- *1総務省自治行政局長発「地方自治法の一部を改正する法律の公布について(通知)」(総行第87号・平成15年7月17日)
- *2官民連携手法に関する関係省庁連絡協議会「PFI、指定管理者制度、市場化テスト等の官民連携手法の効果的な活用と適切な選定等について」(平成20年7月11日)
- *3民間資金等活用事業推進委員会「モニタリングに関するガイドライン」(平成15年6月23日)
- *4平成18年モニタリングに関するアンケート調査
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2006/shitei061221.html
要旨
指定管理者制度を導入している施設は44,240施設。福祉施設やスポーツ施設、レクリエーション施設での導入が多くなっている。
- 今回のアンケート調査では、回答自治体(1,001団体)が設置する公の施設数は44,240施設。
- うち民間企業が指定管理者として管理運営する公の施設は7,577施設。
- NPO法人を指定管理者としている自治体の数が、第三セクターのそれと同数(40.1%、387団体)になっており、NPO法人が「新しい公共」の担い手として活躍の場を拡げていることをうかがわせる。
指定管理者に対してモニタリングを実施している自治体は約半数。
- 地方自治法が定める以外のモニタリングを実施している自治体は47.6%(460団体)。
- 制度移行期限であった平成18年度からの約3年間で半数の自治体がモニタリングに関する対応と行っている。
そのなかで、指定管理者モニタリングに関するガイドライン等を公表している自治体が増えている。
- 平成18年度時点では、モニタリングに関する基本方針、ガイドライン等を策定していた自治体は全体の2.6%(28団体)であったが、今回のアンケート調査では全庁で統一したルールを定めている自治体が30.2%(296団体)に上っている。
- これは、地方自治法が定める以外のモニタリングを実施しているとした460団体のうちの64.3%にあたる。
モニタリングを実施している自治体では、モニタリングに対する評価は高いものの、改善点も多いと認識している。
- 81.3%の自治体が、モニタリングから期待される効果が得られていると考えている。
- →一方、期待効果が「十分に得られている」(29団体)と考える自治体はわずかであり、「ある程度の効果が得られている」(337団体)という自治体が多いことから、より有効な方法について自治体が模索している現状がうかがわれる。
特に、第三者によるモニタリングに対する期待感が大きい。
- 第三者によるモニタリングの必要性については、78.6%(747団体)の自治体が必要と考えている。
- →第三者の視点による客観的な分析に対する期待が大きい。
モニタリングの課題は、評価基準・評価指標の作成と手間や負担の軽減。
- モニタリングの課題として、「評価基準や評価指標の作成が難しい」との回答が72.3%(705団体)に上っている。
- →評価のための客観性確保や成果の数値化が悩みどころとなっている。
- 同時に、モニタリングは手間や負担が大きいと考える自治体が51.7%(504団体)。モニタリングに期待する効果を担保しつつ、いかに負担を軽減するかが課題となっている。
アンケート調査の概要
- アンケート対象:47都道府県、東京23区、全国1,774市町村の指定管理者制度担当者
- 実施方法:郵送による配布、回収
- 実施期間:2009年9月15日~2009年9月28日
- 回収率:54.7%(回収数:1,008件)
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担当:社会経済コンサルティング部
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モニタリングの過程で自治体と指定管理者が密接なコミュニケーションをとることで、管理運営上の問題点やサービス向上に向けた課題を早期に発見し、必要に応じた改善活動を行うことで住民サービスの質向上・経費節減を目指します。


