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市民の健康増進に向け、データを活用し特定健診の受診率向上に取り組む、埼玉県鴻巣市

埼玉県鴻巣市ロゴ

超高齢社会に突入している日本では、国民の健康保持増進のためのデータヘルスの取り組みが求められている。2014年には、「国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」の改正が行われ、医療保険者は、効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るために、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った保健事業の実施計画(データヘルス計画)の策定・実施を進めている。

埼玉県鴻巣市では、国保加入者の健康保持や疾病予防に向けて受診勧奨に積極的に取り組み、成果を上げつつある。さまざまな課題に対しどのような工夫を施してきたのだろうか。

職員全員参加で、ユニークな受診勧奨を実施

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鴻巣市
健康づくり部 国保年金課
課長 関根 則男氏

鴻巣市は埼玉県のほぼ中央部に位置し、都心部まで1時間以内という地理的条件からベッドタウンとして人口が急増した地域だ。人口11万9005人、48,657世帯を有し、60~64歳の割合が多いのが同市の特徴である。2005年に吹上町、川里町と合併し、「花かおり 緑あふれ 人輝くまち こうのす」を将来都市像と定めた。この将来都市像を実現するため、2013年3月に「第2次鴻巣市健康増進計画(いきいき健康プラン21)」を策定し、「市民一人ひとりがいきいきと健やかで充実した生活が送れる “健康こうのす” の実現」を基本理念として掲げ、市をあげて健康増進に力を入れている。

鴻巣市は、60~64歳、次いで55~59歳の人口が多く、国保加入者のうち前期高齢者の割合は昨年度より増加しているという。「今後、高齢化に伴い医療費も高くなってくるであろうというのが実情です。重症化させないために健診により市民の皆さまに健康管理をしていただこうと、特定健康診査(特定健診)の受診率を高めることに重点を置いてきました」と鴻巣市 健康づくり部 国保年金課 課長の関根 則男氏は話す。

同市では、これまで市の広報誌やデータ放送など広く周知できるPR活動を通じて受診勧奨を行ってきたが、人事異動により新メンバーが加わったことをきっかけに、皆で新たにアイデアを出し合ったところ、職員自らが広告塔になり、国保年金課が一体となって受診率向上に取り組もうということになり、積極的な啓発活動を行っている。「その象徴的な取り組みの一つが、特定健診の受診を促す文言が入ったオレンジ色のベストの着用です。健診の実施期間中(2017年6月1日~10月31日)は全職員が身につけ、どこにいっても目に付くようにしました。市民の方々にも覚えてもらいやすく、街中で声をかけられたり、窓口でも『そのオレンジのベストは何?』というご質問から健診の話につながるなど、効果を実感しています」(関根氏)。

同課 主幹の服部 和代氏は、金融機関やスーパーの店頭で特定健診の受診啓発イベントを実施するなど、市民と直接対話する機会を増やしたところ、「そもそも『特定健診』という言葉自体を知らない人が多いということがわかりました」と話す。そこで、「まずは特定健診という言葉を市民の方に知ってもらおうと考え、教育委員会に働きかけて、小学校の夏休みの自由課題として“特定健診の受診勧奨PRポスターの制作”を依頼しました。宿題を通じて、家庭内で特定健診を話題にしてもらい、重要性について知ってもらおうと考えました」。

国民年金課の受付の様子(左)、職員が着用している受診勧奨のベスト(右)
国民年金課の受付の様子 職員が着用している受診勧奨のベスト

データの活用で説得力のある説明が可能に、効果を実感

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鴻巣市
健康づくり部 国保年金課
主幹 服部 和代氏

鴻巣市では2017年1月から、みずほ情報総研の支援を受け、国保データベース(KDB)システムを活用したデータヘルス計画の策定に取り組んでいる。

KDBシステムから提供されるデータを分析することにより、地域住民の健康課題を明確化し、事業計画を策定したうえで効果的かつ効率的な保健事業を実施することが可能となる。同課では、地域ごとの特定健診の受診状況を分析し、そのデータを受診勧奨に活用する取り組みを始めた。服部氏は、データを活用して保健事業を実施した効果を早速感じているという。「どの地域の受診率が高いか低いかなど、具体的な数値を持って各地域にアプローチすることができるようになりました。町内会の役員や消防団員、民生委員の方々は、地域のリーダーとしての役割を担っている方々ですので、住民の皆さんに健診の受診を働きかけてくれる営業マンになっていただけるのでは、という狙いがあったのですが、それが見事にヒットしました。地域でのイベントの際に、『町内会長からうちの地域の受診率が低いと聞いたから、ちゃんと受診しなきゃと思っている』というような声をいただくこともありました。行政区、町内ごとの受診率を出したことにより、地域間で競争心が働いた結果だと思います」。

同課 主任で管理栄養士でもある佐藤 友紀氏は、みずほ情報総研の支援を通じ、作業負担の軽減だけでなく、データ活用のノウハウを学ぶことができるメリットを感じていると話す。「みずほ情報総研の担当者が、計画だけで終わらないようにきめ細かくサポートしてくれるので、課題解決につながる活動ができていると感じます。たとえば、今までは特定健診の未受診者対策を行うために必要なデータを入手するだけでも大変でしたが、今は、データの入手からデータ分析の手法までサポートしていただき、対象者を抽出したり、アプローチ方法についてもアドバイスしてもらえるので、PDCAサイクルに沿った保健事業を実施するうえで重要なパートナーであると感じています。」

PDCAサイクルを確立し、市全体で健康づくりへの取り組みを目指す

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鴻巣市
健康づくり部 国保年金課
主任(管理栄養士)
佐藤 友紀氏

職員一丸となって特定健診の受診率向上に向けた活動に取り組んでいる鴻巣市。特定健診の実施期間以降は、結果を評価し次の展開を考えていきたいと佐藤氏は話す。「今回の活動で、市役所の外で直接市民の方々と触れ合うことで生の声を聞くことができ、未受診者の方の気持ちについて理解することができたことは大きな収穫です。来年度はアプローチの仕方を工夫し、未受診者の方々の心に響くような活動を考えていかなければと感じています」。

関根氏は、データヘルス計画の中で明示した対策を確実に実施し、評価を行い、評価結果から次の課題を検討するというPDCAサイクルを確立していきたいと述べる。「現時点では特定健診の受診率を上げてそれをもとに特定保健指導を充実させようというフローだが、最終的にはこの活動が医療費の適正化につながるか、という点が重要だと考えています。特定健診の受診者と未受診者、保健指導の実施者、未実施者の医療費の比較を行うなど、さらなるデータの活用・分析を行うことができれば、より効果的な保健事業が行えるのではないかと期待しています」。

また、関根氏は、国保のみならず市民全体の健康増進に目を向ける必要があると話す。「現在は社保の対象である市民の方々もいずれは国保の対象になってきます。そのため国保単独での事業展開だけでは難しいと感じています。健康づくり課やスポーツ健康課、長寿いきがい課と連携し、データヘルスを活かして市全体として市民の健康づくりに取り組んでいくことが必要だと考えています」。

鴻巣市の「データヘルス計画」は、今年度に公表される予定だ。データを活用することで、市民の健康を第一に考えた新たな取り組みが今後さらにうまれていくだろう。

  • *この記事は、2017年9月の取材をもとに作成したものです。

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