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山形県市町村職員共済組合、データヘルス計画の早期導入で効果的な運用を実現

山形県市町村職員共済組合ロゴ

世界に先がけて高齢化の進む日本において、国民の健康寿命が延伸する社会の実現に向けた予防・健康管理に関する取り組みが進んでいる。2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、全ての健康保険組合に対して、レセプト(診療報酬明細書)・健診情報等のデータの分析に基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」の作成・公表、事業実施、評価等の取り組みを求めることが掲げられた。データヘルスの推進は、加入者の健康レベル(生活の質)の改善と医療費の適正化を目指すうえで重要な取り組みであり、各健保・共済組合では、データヘルス計画を策定し、2015年度からPDCAサイクルに沿った効率的かつ効果的な事業運営に取り組んでいる。

中でもデータヘルス計画による保健事業をいち早く実施し、効果的な運用を展開しているのが山形県市町村職員共済組合だ。

組合員の将来の健康を見据え、積極的にデータヘルス計画を実施

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山形県市町村職員共済組合
事務局長
稲村 仁氏

県内の自治体と一部事務組合の職員、約16,000名とその家族を対象に短期給付事業、長期給付事業、福祉事業の3つの事業を行っている山形県市町村職員共済組合。47都道府県に60団体ある共済組合のほとんどは、健康診断の実施は事業主である市町村(所属所)が実施しているが、同組合は、1992年より全組合員の定期健診を一手に受託し、事業主と連携して組合員の健康増進を目指す「コラボヘルス」を実践している。

2008年からは特定健康診査・特定保健指導も保健事業の一環として実施し、受診率を高めるための取り組みを進めてきたが、実施状況や成果を把握して医療や健康に関する課題を分析し、保健事業の見直しに役立てるためのシステムが必要と考え、みずほ情報総研の支援を受けて2010年からデータ活用方法の検討を開始した。2011年には「レセプト・健診等データ分析システム」の開発に着手し、2013年には「保健事業計画」を策定して、データ分析システムを活用したさまざまな施策を開始するなど、国のデータヘルス計画推進に先駆けた保健事業を実施している。

山形県市町村職員共済組合 事務局長の稲村 仁氏は、同システム開発の経緯を振り返り、レセプトや健診情報の電子化が進んだことにより、健診結果と医療費の関係を調べることによって、予防や健康管理に関するヒントが見えてくるのではないかと考えたと話す。「毎年数値を比較することで自身の健康状態がどういう方向に向かっているか、傾向を把握して伝え、理解してもらうことが大切だと考えています。今の状態を継続すると10年後はこうなりますよ、という将来予測を行うことにより、早い段階で気づきを与えることができます。また、数値の比較は、健康状態だけでなく医療費の傾向を把握するうえでも重要です」。

健保組合はじめ各保険者では、レセプト・健診データの分析によるデータヘルス計画の策定と事業の実施が始まっているが、膨大なデータとその分析結果をどのように活用していくか、また、効果的な保健事業を実施するためにはどのような施策を行えばよいかなど、運用面の課題はまだまだ山積みの状況だ。同組合では、組合員の健康維持・増進を推し進めるには、組合主導の取り組みだけでは不十分と考え、各市町村の所属所を巻き込んだ施策を次々と打ち出し、実績を積み上げてきている。重点事項として取り組んでいるのが、(1)健康増進を図る必要のある重点対象者の選定と効果的なプログラムの提供、(2)所属所における取り組みの推進、(3)生活習慣病リスクの組合員に対する医療機関受診勧奨の3点だ。

実施体制図
図表

保険者が直接現場に赴く積極的な姿勢が、所属所の自発性を促す

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山形県市町村職員共済組合
保健課健康係 主査兼係長
三澤 幸一氏

1つ目の重点対象者の選定と効果的なプログラムの提供は、分析データに基づき生活習慣の改善が必要な組合員を選定し、セミナー等への参加を促すものだ。みずほ情報総研と共同で健診・医療データの分析手法の開発に取り組む慶應義塾大学 スポーツ医学研究センターの勝川史憲教授監修のもと、生活習慣病予防のための講演や、実践・継続のための運動セミナーの実施、ヘルシーなレシピを学ぶ料理教室の開催など、多彩なプログラムを展開している。参加者は年々増加しており、アンケートでは参加者の9割が満足し継続を求めているという。この結果について稲村氏は「本来運動への関心の低い方が対象になることが多いので、参加しやすいように幅広く声がけを行いました。また、内容は、参加者のためになり面白いものでないとなかなか満足してもらえません。その点で勝川教授のお話は理論的でとてもわかりやすいので、参加者の関心にマッチしたようです」と話す。

2つ目の所属所ごとの取り組みの推進は、各所属所の自発的な取り組みを促すという施策であるため、モデル事業の実施に向けて組合職員が各地に何度も足を運び実現したという。具体的には、所属所別現状分析表をベースに勝川教授を交えて所属所の担当者とディスカッションを重ね、実施事業をまとめていったという。同組合の保健課健康係 主査兼係長の三澤 幸一氏は、「医療の専門家に健康推進事業を企画する打ち合せに入ってもらうことで状況の整理ができ、担当者にヒアリングしながらアイデアを引き出し、企画の検討を進めることができました。たとえば、県中央部に位置する山辺町は運動する人が少ないという分析結果が出ていることから、運動習慣を身につけるための方策について検討を行い、誰もが無理なく気軽に参加できるよう、毎日朝礼前に流れる音楽に合わせて自席で簡単な体操やストレッチを行う『輝らりせっと』という取り組みを行うことになりました」と当時を振り返る。この事業は次年度も継続され、実施前と比べて定期的な運動をしている人が増加し、4人に1人が運動習慣に関する行動が変容する結果となった。また、直近のデータでは男性のBMIが下がるなど、数値にも変化が見え始めているという。

その他、食堂施設に各自が皿を持参して毎日サラダを摂取する「まいさら」事業や、庁舎内の階段を利用した運動習慣の定着のため、階段利用の消費カロリーがプリン何個分に相当するかを階段に掲示して気づきを与える事業などのモデル事業が生まれており、所属所と組合が協働して事業を進めている。これらモデル事業の活動や成果は広報誌、健康管理研修会での報告を通じて他の所属所にも共有されており、新たな取り組みの創出につなげていきたい考えだ。

3つ目の医療機関受診勧奨は、レセプト・健診データをもとに対象者を選定して健診受診後のフォローアップを行うもので、同組合では2016年度から先行的に実施している。「2018年度からの第2期データヘルス計画に向けて、『生活習慣病重症化予防のための医療機関への受診勧奨事業』を本格化させていく予定です。対象者の抽出においては個人情報を取り扱うため、組合員への周知方法や受診勧奨の基準を決めるカットオフ値の設定など整備していく必要があります。」と三澤氏は述べる。受診勧奨事業の推進など第2期の計画策定にあたっては、第1期の取り組みの評価も併せて行っていく必要があり、データ分析システムのさらなる活用が望まれる。

他の市町村職員共済組合に先駆けてデータヘルスの推進に取り組んできた山形県市町村職員共済組合。その活動について稲村氏は、「データ分析の専門家であるみずほ情報総研と連携し、医学的な見地から勝川教授にアドバイスいただくこのパートナーシップにより、保健事業を理論的に実施できている点が当組合の強みです」と話す。また、データ活用については、「データはあくまでツールに過ぎないので、それをどう使っていくか、いかに『見える化』していくかを考えることが重要だと考えています」と述べる。効果の検証や新たな施策への取り組みなど、データを活用した同組合の健康増進への道のりはまだまだ続く。

所属所別現状分析表(イメージ)
図表

  • *この記事は、2016年10月の取材をもとに作成したものです。

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