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夏休みの自由研究テーマ

2013年7月16日 プリンシパル 瀬戸口泰史(環境エネルギー第2部)

夏休みももうそこまで。「昭和」の時代と違い、虫取り網を持ち真っ黒になって子供たちが走り回るご時世ではないようですが、ご家族がそろってまとまった時間がとれる点は変わらないと思います。盛りだくさんの計画を立てられている家庭も少なくないことでしょう。毎週このコラムでは、社会制度や新しい技術などを取り上げることが多いのですが、今回は少し趣向を変えて、夏休みの自由研究のテーマ選びのヒントとなるお話を記させていただきます。

私はエネルギー・環境分野をフィールドに調査や研究をしているのですが、以前、小学校の「総合学習」で日本のエネルギーについて授業をしていたことがあります。その中で気づいたのは、一見難しそうな話題でも、身近なこと、あるいは実体験に結びつくことで、子供たちの興味・理解が驚くほど深まるということでした。こうした気づきから、当時は「生徒たちの納得感を導き出す重要性」を強く意識しながら授業をしていました。この観点は日々の業務上のアウトプットにも通じるものだと感じています。また、課題検討をまとめあげる、ということについては専門家としての自負もありますので、多少は今回のコラムを参考にしていただけるのではないでしょうか。

テーマ選びのアプローチ

いろいろな価値観やお子さんの個性もあるのですが、私なりの大原則は以下の5つ。

(1)「何それ?」を恐れない
自由研究です。何をやっても良いのです。学校の勉強に照らして位置づけがわからないことでも構わない、と開き直ることがスタート。ただし、この観点でテーマが浮かぶことはまずありません。思いつきを否定しない態度が大事、ということです。

(2)達成感を体験できる
夏休みの長い間、毎日何かを行うことは簡単ではありませんが、やり続けたことは大きな成果となるはずです。また、短期戦に持ち込むのであれば、ある日一日は早朝から日暮れまで一時間毎に定時測定をやり通した、膨大な量を一日かけて数え上げた、なども十分やり遂げた気になります。百名山制覇と同じですね。

(3)理科にこだわらない
統計的に確認したわけではないですが、書店に並ぶ夏休み対策本を見ると何かの「科学実験」などをテーマにすることが多いように思います。実験器具の調達も大変ですし、親御さんの負担ともなりそうです。ここは少し視点を変えて、身近な社会のしくみや、生活を測ってみるのはいかがでしょうか。これらの取り組みは意外な結果を導いてくれるものです。例えば、近所のコンビニに何時頃に客が多いのか、雨の日はどうか、あるいはバス停で待っている人の数とかの類です。大人がやれば「マーケティング」となるのかも。

(4)普段できないこと、夏休みの思い出になればなお良し
お盆の帰省や家族旅行に絡めるなどが典型でしょう。高学年ともなればちょっとした冒険的要素があっても良いのかもしれません。土地土地の文化の違いを認識することは容易ではないのですが、お店に並んでいる商品にすら地域差はあります。遠くへ行くことは「気付き」の宝庫です。

あるいは、普段はできない公認の「夜更かし」で何かを知ってもらうのはいかがでしょう?普段より少し遅くまで、いつも「もう寝なさい」といわれる時間帯にテレビ前に陣取って、昼間とのコマーシャルの時間比率の差を計ったり、紹介されている品物の種類を調べてみる。夜更かしといっても、受け身でテレビを見たりゲームをしているわけでなく、未知の領域の探索です。

(5)困ったら「比較」
測っただけでは作業にすぎませんから、「研究」としての完成度は今ひとつです。何らかの発見を見出す努力・工夫に導くべきです。子供に結果を説明させて、「それで?」「それはどうして?」と質問するなどで気づきを導くなど、親御さんの出番ともなります。あらかじめ考察の材料を用意しておくことがおすすめ。

前述の深夜のCMでも触れましたが、並行して何かを測る、数える、記録するなど、後で対比できるようにしておくことです。例えば、一日の気温の変化をずっと測る。これだけでも良いのですが、屋外、日陰、部屋の中、車の中、黒く塗ったペットボトルの水などの温度を一緒に測っておくと、得られる情報も増え、まとめもそれらしくなるだけでなく、比べての「気付き」はいくらでも出てくるでしょう。「ほらね、子供部屋はお父さんの部屋に比べてこんなに暑いんだから、勉強なんかできないよ」と理詰めの言い訳に眼を細めることにしましょう。

具体的なテーマは?

テーマについてはご家庭で議論していただきたいところですが、ゼロベースでは迷われてしまうかもしれません。ご参考までに、以下のようなテーマはいかがでしょう。

・研究テーマ「洗濯物の乾き方の研究」
洗ったタオルが乾いていく様子を気温と一緒に測ります。根気のいる作業なので、小学3年生以上が対象となるでしょうか。暑くなりそうな晴れた日に行うのが基本。工程は以下のとおり。

(1)乾いたタオルの重さを量っておく。
(2)洗って、ある程度絞ったタオルの重さを量ってから干す。
(3)一時間ごとに気温とタオルの重さを記録する。

これだけでも半日かかってしまいます。さらに、「朝から干す」「昼から干す」「日陰に干す」「部屋の中で干す」「夜更かしOKで夜に干す」、日を改めて「曇りの日に干す」「雨の日に干す」などのバリエーションも考えられます。湿度は?風の強さは?などというアイデアも子供達から出てきそうですね。

このようなバリエーションに挑戦すれば、ご両親の家事の合理化にも役に立つ情報が集まります。作業が多くなりますから、兄弟やお友達との共同作業も考えられます。わいわい言いながら、同じ重さに絞ったり、測った値をグラフに記したりと、賑やかな研究になりそうです。

ちなみに、私の一人娘は大学生になってしまったので我家では「夏休み」の意味も様子も大きく変わってしまいました。この娘が小学5年生の時の自由研究では、自宅に近いディズニーランドの駐車場で、父親も休みをとって丸一日かけ親子でナンバープレートの地域とメーカーごとの台数を数えたことがあります。「みんなどこから来るんだろう」と、2千台。炎天下。朝から夕方までずっと一緒に過ごし、最後に食べたアイスクリームなど、密度濃く印象に残る一日でした(親だけ?)。娘にも各メーカーのシェアや、「豊橋ナンバーってT社ばっかりだね、なぜ?」などいくつもの気付きがあったようです。結果を見るとやはり「へぇ~、そうなんだ」「なるほど、やっぱりね」とそれはそれでおもしろいものでした。ちなみにディズニーランドの入場料もかかりません。

塾や受験対策などもおありでしょうが、まとまった時間で普段と違うことを経験できる得難い機会と捉えて、肩肘はらずに取り組ませてみてはいかがでしょうか。

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