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熱中症とその対策

2014年6月24日 環境エネルギー第1部 吉川 実 <気象予報士>

今年、2014年の5月末から6月初めにかけては記録的な暑さが日本を襲った。最高気温が35度を超える猛暑日を記録した地点が内陸を中心に各地でみられ、北海道でも猛暑日となった地点が複数観測された。この時期としては異例の暑さであり、熱中症とみられる症状による搬送者が急増した(*1)。熱中症は、気温の高い日が多い年や、異常に高い日が出現した年に発生数が増加するため、これから夏にかけての気温の動向を見通しておくことが、熱中症対策を考えるうえで重要である。

今年の夏は?

これから迎える夏の気温の見通しはどうなっているのだろうか。気象庁が5月に発表した3カ月(6月~8月)予報(*2)によると、今年の夏の気温は、「北日本では平年並か低く、東日本でほぼ平年並、西日本と沖縄・奄美では平年並か高い見込み」となっている。この予報だけをみれば、例年に比べて特に注意する必要がないように受けとめる方もいるかも知れない。

しかし、平年並や低いと予報されている場合であったとしても、気温は毎日変化するため、突然、猛烈に暑い日が現れることもある。2003年は冷夏であったが、それでも急に気温が上がった日には、東京都内だけでも数十人が救急搬送されている(*3)。このように予報が平年並や低いからといって、熱中症の危険と無関係ではない。

将来の熱中症被害

環境省が2014年6月に発表した最新の報告によると、21世紀末において、最高気温が30度を超える真夏日の年間日数は全国平均で10から50日程度増えるとされている(*4)。このように暑い日が増えることに伴う熱中症の危険は、どのように予測されているだろうか。今年、2014年3月に環境省管轄のプロジェクトが発表した『地球温暖化「日本への影響」新たなシナリオに基づく総合的影響予測と適応策』では、防災、農業、生態系など様々な分野に将来起こり得る影響がまとめられている。その中で熱中症については、21世紀末の日本で被害額が現状より数千億円以上も増加する試算結果も示されている。

こうした被害への対応として、政府では「熱中症環境保健マニュアル」の普及による啓発活動、「熱中症予防情報サイト」や「気象情報」などの情報発信による注意喚起などを実施している。また、民間企業では熱中症予防に関連する商品の開発が進められている。脱水症状の緩和を助ける飲料水をはじめとして、サプリメント、冷却スプレーやネッククーラーなどの商品が様々な売り場でみられる。こうした情報や商品を有効に活用していくことが、熱中症被害から自分自身や家族の身を守るために必要になろう。

大切なのは「一人ひとりの備え」

健康への影響については個人差があり、対策をどこまで実施するのかは個人の判断に頼らざるを得ない。まずは、本稿で紹介した「熱中症環境保健マニュアル」などから正しい知識を得るとともに、情報サイトや毎日の気象情報を確認して危険を事前に察知し予防することが大切である。その上で、各種の対策商品も適宜有効に活用していくことになるだろう。熱中症対策は大きな負担なく取り組めるものが多く、個人や家族でしっかり備えておくこと肝心だ。また、高齢者や子供たちは自身では十分な備えが難しいことも多いため、周りがしっかりサポートすることも忘れてはならない。

これから本格的な夏を迎え熱中症の危険が増してくる。熱中症のリスクに対して自分自身で身を守ろう。そのためにしっかり備えよう。“備えあれば憂いなし”である。


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