ページの先頭です

CES2017に参加して

2017年2月14日 事業戦略部 下元 正義

1月4日~1月8日の日程で開催されたCES(コンシューマーエレクトロニクスショー)は150カ国以上から約18万人が参加する世界最大の見本市の一つである。今年のCESは50回を迎える記念大会であったが、初回の参加者は1万7500人ということなので、約50年で10倍の規模にまで拡大したことになる。

ラスベガスの最寄りにあるマッカラン国際空港に到着すると、そこかしこにCESの垂れ幕、掲示があり、町全体がCESの開催を歓迎している。空港にすでに受付があり、参加用のバッジを受け取ることができる。会場は南北5kmに3拠点に分かれたホテル、コンベンションセンターである。拠点間を結ぶCES参加者向けの無料の大型バスが運行されているが、昼間の時間帯はCES開催のため大渋滞が発生し、会場間の移動に1時間以上かかることもあった。

CESでは自動車、白物家電、美容機器、ベビーケア機器、カメラ、オーディオ機器、モバイル、PC、ゲーム機、おもちゃ、DIY用品、ケーブル類、電池、精密機械輸送用のパッケージなど電気製品に関わるあらゆるものが出展されている。展示の他にパネルディスカッションやセミナーが行われる他、カルロスゴーンのような著名人によるキーノートイベントもあり、1000人も収容できそうなホールであっても長蛇の列ができるような盛況ぶりであった。

その年に登場する新しい製品を直に見ることができるというのは、CESにおける大きな魅力である。今年のCESでは、Windows Holographic(*1)に対応した複合・仮想現実デバイスのプロトタイプがDell, hp, acer, lenovo, 3glassesというメーカーから発表された。これらは、現在マイクロソフトがリリースしている製品の1/10にすぎない300ドルから400ドルの価格帯と、大変リーズナブルである。また、現在ゲーム機などで製品が出始めている仮想現実は、描画用に別途ハイエンドなPCが必要だが、こちらは安価なノートPCでも動作することを想定している。仮想現実のヘッドマウントディスプレーとマシンを含めると3000ドル程度必要となるが、複合現実が1000ドル以下で体験できるようになれば一気に普及が加速し、ますます我々の身近な体験に近づくことが期待できる。

さらに複合・仮想現実に新たな要素として超音波を活用して“Haptics(触覚の再現)”を実現する製品が複数出展されていた。空中の手を狙って、超音波で触覚を再現するものや、シューズのようなものを履いて足の裏に触覚を再現する方式のものがあった。仮想的に映し出された3次元の仮想物体をそこにあるかのように体験できるようになる日も近い。

中にはプロトタイプを展示して出資を募っている企業もある。どこかにKickstarterやINDIEGOGOなどのクラウドファンディング(*2)のロゴが表示されている。あるブースでは全天球カメラ、アウトドア使用に最適なサイズ、さらに高解像度という製品のプロトタイプを展示していた。プロトタイプの製品は出展期間中きちんと動作していたので、$200でひとつ予約してみることにした。スタートアップがつぶれてしまう可能性がないわけではないが、うまく行けばこれまで世の中にない全天球カメラ(*3)が手に入る。

50年前ビデオカセットレコーダーがCESに出展されたそうだが、我々のライフスタイルに大きな変革を起こした。新たな技術がこれからの我々の生活に変革をもたらすというワクワク感を世界で最も早く体験できる、これが50回の開催を終えてもなお、その熱が冷めないCESのすごさだと感じた。

今回、私は野村総研主催のNRIハッカソンで最優秀賞を受賞し、そのごほうびとしてCESに参加する機会を得た。これからも新しい技術・製品と触れ、我々の生活を変えるアイデアとサービスを世の中に生み出していきたい。

  1. *1Windows Holographicは複合現実を実現するためのプラットフォームである。
  2. *2KickstaerterやINDIEGOGOはスタートアップが作ろうとしている製品やサービスを、出資者が出資の見返りとして受け取ることができるクラウドファンディングである。
  3. *3全天球カメラは、複数のカメラで撮影した画像を合成して全天球の写真や動画を撮影する。低価格のものは、2つの魚眼レンズによる撮影画像を合成するものが一般的である。
ページの先頭へ