ページの先頭です

中国環境対策ビジネスの動向と日本企業成功の鍵

2017年3月7日 環境エネルギー第2部 佐藤 智彦

PM2.5報道といった騒動により、中国の環境問題がグローバルレベルで顕在化して久しい。中国政府は、深刻化の一途をたどる環境問題解決に向け、2014年に環境保護法を25年ぶりに改正し、環境汚染事業者に対する罰則を強化すると共に、その管理監督を担う役人に対しても昇進条件に環境問題の解決を盛り込み、環境対策に取り組まざるを得ない状況を作り出してきた。

また、オンラインモニタリング等の環境汚染物質の監視技術の導入も上海・北京等の直轄市を中心に徐々に始まっている。そして、2018年1月1日からは 「環境保護税」が施行され、環境対策に取り組む企業は税制優遇を受け、取り組まない企業は従来以上の税率が課されることになる。この流れを受け、中国の環境対策ビジネスはこれまでの“対策しているフリ” から“実効性のある対策”に変わるとの予想が広がり、日系を含む多くの外資系企業が再び中国環境対策ビジネスに関心を寄せている。

現状、中国では、大気・水・土壌の汚染に加え、それらの原因となる廃棄物処理の分野において動きが活発だと感じる。大気分野であればVOC対策や発電部門以外の脱硫・脱硝・集塵が、水分野であれば各種工業排水処理や黒臭 (河川が黒く濁り異臭を放つ状態)水対策、さらには排水のゼロエミッション化が中国政府関係者からよく挙げられるテーマである。土壌分野はまだ実情の把握と制度設計が始まったばかりであるが、土壌汚染の原因である廃棄物処理分野では生活・工業汚泥の無害化処理や資源化処理がよく挙げられるテーマである。

ただし、中国側がこれらのテーマに関して日本に期待しているのは、中国にない技術の提供である点に注意が必要である。つまり、革新的な技術ほど、また、単体の機器売りではなくシステム化された製品であるほど中国側に受け入れられやすい。これは、受け入れる側の立場に立ち考えれば簡単なことであるが、例えば中国の環境部門の人間が環境対策技術を選定する場合、革新的な技術である方がそれを中国にもたらした功績をアピールしやすい。

また、ユーザーも専門知識が不足している場合が多いため、その製品を導入すれば、即課題解決につながるシステム化された製品の方が実績を挙げやすい。なお、システム化については、構成機器の全てを日系企業で固める必要性はなく、一部を中国企業に任せることも一つの方法である。

この分野のコンサルティング業務を担当している筆者は、高度な環境技術に対するニーズは、日本企業にとって技術流出のリスクでもあるが、一方では低価格競争回避のチャンスでもあると見ている。そして、このチャンスをものにするためには、現地商流の把握、営業戦略策定、パートナー選定、ビジネスネットワーク構築といった課題をいかに迅速に効率良く乗り越えるかが重要であり、必要に応じて上手く外部リソースを活用することが成功の鍵だと考えている。

多くの課題が横たわる中国環境対策市場ではあるが、市場規模はASEAN全体よりも大きいとも言われているだけに、中国の環境対策ビジネスを成功させる日本企業が増えていくことを期待している。

ページの先頭へ