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ESG対策の本質

2017年12月19日 環境エネルギー第2部 高橋 香織

最近、ESG投資という言葉が新聞等を賑わすようになり、日本でもようやく「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」を気にする企業が増加してきた。

古くから日本には「三方よし」という言葉があり、あえて今頃ESGが中長期的な企業発展に重要だと慌てる程のことではないと思いきや、昨今の大企業の経営不振や品質問題等のニュースを見ると何かがおかしいと感じる。また、確かに三方よしの中にEのうち公害対策は含まれていたかもしれないが、気候変動対策が含まれていた訳はなく、一企業でどうにかできる問題ではない気候変動にどのように取り組むべきか分からないというのが現代を生きる企業の実情であろう。

実際にESGに関連した相談を受けている企業の共通点を考えると、このような状況と似ている。つまり、一部署でどうにかできる問題ではないESGへの対策に何をどこまで取り組むべきか分からない、というものだ。そもそも、関与すべき部署自身が曖昧である。情報開示を担当する広報部、EとSに関係する環境部、CSR部、Gに関係する内部統制部、総務部等までは思いつく。しかし、ESG対策の目的は中長期的な企業発展であることを考えると、事業をESGの観点で再整理して企業活動のPDCAを回すことが必要となるため事業部も、となる。結局のところ、ESG対策に関与すべきは、経営トップを起点とする全社である。環境や社会への配慮をしながら営む事業、それに取り組む企業の理想像を経営トップから従業員一人ひとりまでが共有し、理想と現実のギャップの解消に向けて皆が適切に判断して行動できる状態にすることが必要である。

ここで、はたと疑問に思う。環境や社会への配慮、営む事業として何が適切か、そしてそれに取り組むどんな企業が理想なのか。しかし、この疑問に対する唯一無二の正解はどこにもない。「適切」というものの定義も「理想」の定義もない。あるのは、企業を構成する経営トップから従業員、取り巻くステークホルダーである。したがって、外部環境の潮流を読みつつ、どこまでも企業自身が自らのあり方を考えて定義し、取り巻くステークホルダーの支持を得る努力の継続が肝要なのである。これがESG対策の本質である。

ややもすると、情報開示のテクニックだけが重視される場合もあるが、そうした小手先の対策だけでは、いずれ限界を迎える。取り巻くステークホルダーから支持を得るには、どうあるべきか。容易ではないが、企業が生き残るために熟慮すべき問いであろう。

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