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新しいITとの向き合い方

2017年12月26日 経営・ITコンサルティング部 藤井 彰洋

2017年も残りわずかとなり、今年の流行を振り返る時期になってきた。今回は、筆者が今年注目を集めた2大キーワードと考えるAI(Artificial Intelligence:人工知能)とRPA(Robotic Process Automation)を取り上げたい。

AI、RPA

AIとはコンピュータに知的な活動(記録・推論・判断・学習等)をさせる技術やソフトウェアなどのことである。全国の20代~60代の男女1,000人を対象としたAIに関する調査(*)によると、9割超の人が「AIについて耳にしたことがある」と回答するほど、今年注目を集めた技術である。現在、AIの利活用をさまざまな分野の企業が推進しており、デジタルイノベーションを企業方針に掲げる企業も珍しくなくなった。

また、Alはさまざまな技術とつながることにより、さらに価値を高めることができる。たとえば、スマートスピーカーは、音声UI(User Interface)によりIoT(Internet of Things)家電と連携し、価値を高めている例といえよう。音声UIとは、機械と人間との間で情報をやりとりするためのインターフェースであり、IoTとはモノをインターネットに接続し、情報の交換により相互制御する仕組みである。スマートスピーカーは音声UIの利便性に着目した機器であり、IoT家電をハンズフリーで操作することにより、複数の作業を同時並行で実行することができる。また、海外では日本以上に幅広い分野でのサービス連携が実現されており、日本でも今後のサービス拡大が期待される。

一方のRPAは、人手不足の補完が近年の大きな課題とされる中、注目を集めた技術といえる。RPAとは、ソフトウェアロボットによる、主にホワイトカラー業務の効率化・自動化の取り組みのことである。このロボットは、工場などにある物理的なロボットのことではなく、仮想的なロボットのことであり、人間が複数の画面操作を行って処理する業務の手順を記憶し、自動実行するソフトウェアを指す。ソフトウェアによる自動処理であるため、仕事が早く、操作が正確で、継続性があり、生産性向上やコスト削減というメリットがある。PRAは、事務作業が比較的多い金融業界との親和性が高く、事例としては日本生命の「日生ロボ美ちゃん」が有名であり、6台のソフトウェアロボットにて20人相当の事務量を処理するという実績がある。

AIがRPAにつながることで、単に業務処理を記録・自動実行させるだけでなく、より知的な判断が可能になれば、さらなる効率的な業務実行が期待できる。

どのように新しいITと向き合うか

次々と目まぐるしく新技術が生まれるIT分野において、先進的な技術の導入による生産性向上は、ここ近年に限った話ではなく、従来からも存在し続けていたテーマである。筆者の場合、当時最新のトレンドのITを導入してみたものの、新技術の優位性や利便性を活用しきれなかった職場や開発現場を見てきた経験がある。そうした観点から、AIやRPA導入の進め方について整理してみたい。

(1)先進的なITに対して、過剰な期待をし過ぎていないか

新しい技術に色々と期待しがちだが、各々の技術には当然ながら得意・不得意な分野は存在する。たとえば、AIは囲碁のようなルールが明確な分野では人間以上の成果を出しているが、現実の問題解決のようなルールが明確でない分野では、人間と同等の成果を出すところまではまだ到達していない。しかし、昨今のAIブームの中で、目的が明確でないまま手段(=Alの利用)が先行する例も見られる。

導入しようとするITの特徴を把握し、得意な面だけでなく苦手な面も理解することが大切である。

(2)導入対象となる業務やプロセスを見直すことを怠ってはいないか

そもそも今の業務やプロセスにムダやムリはないのかなど、いざ視点や視座を変えてチェックしてみると、意外にも不要な業務やプロセスが残存していることもありえる。複数のアプリケーションを跨いだ作業ができるのがRPAだが、跨ぐアプリケーションの数はなるべく少ないほうが作業スピードや作業品質の向上が見込まれる。

ITの導入以前に、対象業務やプロセスが適切な形となるよう見直すことが大切である。

(3)ITの導入による効果が全体最適の状態になっているか

ITの導入により、ある業務は劇的に効率化したが、別のプロセスが増えてしまい、全体最適になっていないこともありえる。AIやRPAも、常に完全な正解を導き出せるわけではなく、異例ケースの対応は人間が担う必要がある。

部分的な視点ではなく、全体的な視点でも確認することが大切である。

やはり、まずは対象とするITや業務の特性を把握することが肝となる。先進的な技術であると聞くと、それが魔法のツールのように思えるかもしれないが、現状の課題をすべて解決してくれると過信せず、「何を」「どのようにするか」をしっかり見極めたうえで、上手くITを活用することが重要である。

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