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洋上風力発電、大量導入への第一歩

2018年4月25日 環境エネルギー第2部 古林 知哉

発電用の風車が、日本の海にも大量に並ぶ青写真が見えてきた。

洋上風力発電とは、文字通り洋上に設置した風車による発電のことを指す。大きく分けると2種類あり、浅い海域では海底に風車を支える基礎が固定された着床式、水深が50メートルを超えるような海域ではアンカーで係留され海上に浮かぶ浮体式が適しているといわれる。

日本ではあまり馴染みがないため、近未来的な技術と思われるかもしれないが、洋上風力発電は欧州を中心に導入が進んでいる。洋上風力発電の導入に熱心な国の1つである英国では、日本の陸上風力発電の約2倍に相当する700万kW近い洋上風力発電が導入され、計画中のプロジェクトには、約100万kWという原子力発電1基分に近い規模のものも存在する。英国で洋上風力発電が盛んな背景としては、北海油田の資源開発で培われた高いレベルの海洋施工技術、偏西風による強い風、広範な浅海域のほか、事業者を選定する入札制度や、排他的経済水域の一部を再生可能エネルギーに利用可能な海域に指定するといった制度面の支援が大きい。

ならば英国と同じ島国で、世界第6位の排他的経済水域を持つ日本はどうかというと、残念ながらあまり普及が進んでいない。その理由として、日本は英国に多くの点で事業環境が劣後しており、特に洋上風力発電のためのルールが存在しなかった点が挙げられる。事業者は、洋上風力発電を行うために都道府県条例に則り海域を借りることになるが、一般的な発電事業期間の20年間、確実に海域を占用するためのルールがこれまでなかったのである。

だが、2016年に港湾法が改正されたことを契機に、洋上風力発電のためのルールが整備され始めた。この改正港湾法により、港湾については、公募で選定された事業者が事業期間中は対象海域を占用できるようになった。そして、漁港や港湾を除く一般海域については、2018年3月に新法案が閣議決定された。その内容は、あらかじめ調査を行い、気象、海象等の自然条件が適当で発電量が見込め、かつ漁業等に支障がないといった基準に適合する区域を、国が促進区域として設定し、公募で事業者を選定するという仕組みである。これにより、港湾、一般海域ともに公募で選定された事業者が、事業期間中海域を占用できることとなり、発電事業の見通しが立てやすくなったため、新規参入のハードルは大きく下がったといえる。昨年には、港湾における占用公募制度が全国で初めて福岡県の北九州港で適用され、茨城県の鹿島港が2件目に続いた。一般海域についても、新法案が成立すれば、制度適用による導入促進が見込まれる。

日本風力発電協会によれば、日本の洋上風力発電のポテンシャルは、現在の日本の全発電設備の容量を上回るとされている。もちろんすぐに大量導入されるということは難しいが、このルール設定という追い風を受け、長期的には洋上風力発電が日本の持続可能な社会実現の柱となっていくことを期待したい。

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