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いよいよ始まる出力制御

再エネが迎える時代の節目

2018年10月16日 環境エネルギー第2部 境澤 亮祐

低炭素社会実現への切り札として導入が進む再生可能エネルギー(以下、再エネ)の出力が制御される。そのような矛盾が、再エネ時代の節目として訪れようとしている。

2018年10月13日及び14日、九州電力が九州本土において、再エネの出力制御を実施した。ここでいう出力制御とは、一般送配電事業者が電力供給を行うエリア単位で供給量が需要量を超える際に、一定のルールのもとで再エネの発電停止を各発電事業者に要請することである。電力の供給過多や供給不足は、電力を使う機器の動作不良や停電を発生させる。このため、需要量と供給量を常時同量に保つ“同時同量の原則”の維持を目的としてこのような制御が行われるのである。

固定価格買取制度(FIT)が開始された2012年以降、国内の再エネ導入は急速に進んでいる。需要供給バランスの実績を1時間単位でみれば、たとえば四国電力エリアでは、2018年5月20日の11時台に再エネの発電量が需要量を超過し、九州電力エリアでも5月3日の12時台に需要量の96%まで再エネの発電量が到達した。どちらのエリアも火力発電や原子力発電(九州電力のみ)の発電量を加えると、四国電力エリアでは需要量の169%、九州電力エリアでは147%と、電力の“供給過剰”となった。

このような場合、これまでは過剰分に対して揚水発電所による蓄電や、地域間連系線による隣接エリアへの供給、火力発電の最大限の制御によって“同時同量の原則”が保たれていた。しかし、今回の九州電力の発表は、これらの方法では“供給過剰”を調整しきれずに、バイオマスや太陽光、風力発電に対して、出力制御の要請が必要となったことを意味している。このような出力制御は冷暖房による電力需要が小さい春季と秋季、特に導入が進む太陽光発電の出力がピークを迎える日中において発生しやすい。

国が掲げた2030年時点の再エネ導入目標は、年間発電量の22~24%(2017年度は15%)で、低炭素社会の実現に向け、今後さらなる再エネの導入が求められている。このことからも、再エネの出力制御は近い将来、九州電力エリア以外の各地でも実施される見通しだ。発電事業者からすれば再エネの出力制御は、発電機会の損失、すなわち売電機会の損失となる。そのため、再エネの導入が進むにつれて、新事業の立ち上げには慎重な姿勢をとらざるを得ない。再エネの導入自体が再エネの導入を失速させる要因といえるだろう。

こうした再エネ発電事業者の売電機会の損失を緩和するため、地域間連系線の増強や運用方法の改定について現在議論が進められている。それでも、春季秋季の日中など、一部の時間での出力制御は避けられないだろう。このような状況で電力による水素生成や蓄電池の導入、電気自動車の有効活用など、いかに余剰電力を運用するのか。再エネ活用の新たな時代へ、発電事業者のみならず、社会全体での工夫が求められる。

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