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世界循環経済フォーラム2018について

2018年11月13日 環境エネルギー第1部 谷口 友莉

先月、10月22日~23日に世界循環経済フォーラム2018(以下、WCEF2018)が横浜で開催され、日本・欧州を始めとする約85カ国から政府、国際機関、自治体、NGO、企業の担当者や専門家等1,000人以上が集まった(*1)。日本の取り組みを紹介するセッションの他、Industry4.0、金融や投資、プラスチックや持続可能な消費などをテーマとした計16のセッションが2日間に渡って開かれ、循環経済による気候変動対策への貢献、SDGsの達成に向けた循環経済の役割、企業等の経済活動へ循環経済がもたらす機会、社会的メリット等について活発な議論が交わされた。

循環経済とは、製品、素材、資源の価値が経済の中でできるだけ長い間維持され、廃棄物の発生が最小化されている経済モデルを指す(*2)。今後、世界が直面する資源の利用が制約される状況下では、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄の経済モデルの持続は難しく、資源を循環させ、いかに効率的に使うかを考える必要がある。また、循環経済では環境負荷や資源制約の面だけではなく経済やビジネス面に主眼を置き、2015年から循環経済を謳う欧州委員会でも循環経済によって雇用創出、国際的な競争力強化、持続可能な経済成長を目指すとしている。

今回のWCEF2018でも循環経済による事業機会やビジネスセクターの役割が大きく取り扱われた。参加者や登壇者にも政府機関や国際機関のほか、Apple、Google、カネカ、メルカリ、ソフトバンクなど民間企業の存在感が目立った。WCEFは循環経済の実現のため、多くの国や企業の好事例を紹介・共有し、広げていくためのプラットフォームとしての機能を持つ。今回のプログラムの中でも、日本、欧州、米国、東南アジアなど世界各地の企業やNGOの優れた取組事例が共有された。

日本では2000年に循環型社会形成推進基本計画が策定されてから、3Rなどの取り組みを進め循環型社会の形成を目指してきた(*3)。民間企業でも循環型社会形成に向けた多くの取り組みがなされ、廃棄物の埋立処分量の劇的な削減と同時に資源効率を追求して事業機会をつかんで成長してきた実績がある。日本の製造業が得意とするきめ細やかな保守・点検サービスや再製造・修理による長寿命化、予防保全による機器の故障回避などは資源効率を向上させる典型的な循環経済ビジネスの例だ。また、今年に入って大きな注目を浴びている海洋プラスチックごみの問題や使い捨てプラスチックに対しても、生分解性プラスチックや紙による代替など企業から多くのアイディアが出ており、新たな事業展開の機会となるはずだ。

WCEFは2019年6月にヘルシンキで、2020年にはカナダでの開催も決定している。日本企業は、このような機会を活用してこれまで磨いてきた取り組み・事業を循環経済や資源効率の文脈でも世界へ発信し、事業機会の拡大を目指すべきではないだろうか。WCEF2018のクロージングでは秋元環境副大臣が“日本が循環経済への歩みをリードしていく決意”を述べた。日本企業が循環経済の潮流に乗り遅れることのないよう期待したい。

  1. *1SITRA WCEF2018ウェブサイト
    https://www.sitra.fi/en/projects/world-circular-economy-forum-2018/#wcef2018
  2. *2欧州委員会 Circular Economyウェブサイト
    http://ec.europa.eu/environment/circular-economy/index_en.htm
  3. *3環境省 循環型社会形成推進基本計画
    http://www.env.go.jp/recycle/circul/keikaku.html

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