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再エネとの共生に向けた日本の系統運用策 ―日本版コネクト&マネージ

2019年11月22日 グローバルイノベーション&エネルギー部 境澤 亮祐

低炭素社会実現に向けた再生可能エネルギーの導入が進むにつれて、国内でも徐々にその発電量の不安定性に起因する問題が顕在化し始めた。再エネのさらなる導入を促進するために、系統運用をはじめとして、再エネの性質に合わせた制度設計が求められている。

ここで取り上げるのは、再エネの中でも、日照量や風速によって出力が変動する太陽光発電と風力発電で、水力や地熱、バイオマス発電など一定の出力が見込めるものと区別して、VRE(Variable Renewable Energy)とも称されている電源である。

VREの導入初期段階であれば、我々はクリーンなエネルギーの恩恵を純粋に享受できるが、さらに導入量が増加するにつれてその利用方法の見直しが必要となる。国内の例としては、九州地方の出力抑制が挙げられる。太陽光発電の導入が進み、日中の発電量が電力需要量を超過する事態が、電力需要の低い春秋季を中心に、昨年10月から2019年10月末までの間に58回発生している。電力需給の不均衡は系統設備の故障を招き、最終的に大規模停電を引き起こす要因となるため、発電量が需要量を超過する時間帯は、VREの出力が抑制される。こういった電力需給面の出力抑制は、今後、四国地方やその他の地域でも実施される見通しだ。

また、国内のVRE導入量の増加によって、送電線への接続許容量の超過という課題も現れた。これは、固定価格買取制度の施行を通じてVRE電源が好条件の地域に集中的に導入されたために、電力を生み出す地域と消費する地域に乖離が生じ、送電線の利用量が増加したためである。現在の系統運用制度では、送電線の空き容量が逼迫した地域においては、送電システムの安定性の観点から、新たな再エネの接続が認められていない。

こうした系統面の問題は風況に恵まれた東北地方ですでに指摘されていたが、今年に入って国内の年間電力需要の30%程度を占める関東地方においても、電力需給面の出力抑制の可能性が小さいにもかかわらず、気候条件の良い茨城県・千葉県エリアで、新たな再エネの接続が認められない事態が発生した。

発電設備の送電線への接続許容量は、送配電事業者が算出している。具体的には、将来接続される電源を考慮したうえで、最も電力が必要となる時間帯や、各電源の発電量が最大となる時間帯においてどのような電気の流れ(電力潮流)が発生するのか、さらにそのタイミングで万が一設備が故障した際に、電力潮流がどのように変化するのかをシミュレーションし、電力潮流が送電線の容量を超過しないように発電設備の接続許容量を設定している。送電線の容量を超える電力潮流もまた、系統設備の故障を招くためである。

送電線の容量が不足しているのであれば設備を増強すればよいのだが、建設期間に10年近い時間を要することと、その費用負担のあり方等が議論されている状況であることから、即効性のある解決策ではないのが実際である。このような状況下で、送電線空き容量の逼迫対策として導入されるのが「日本版コネクト&マネージ」と称される3つの施策だ。具体的には前述の送配電事業者の電力潮流の想定において、各発電設備の発電量をより実態に近いものにする「想定潮流の合理化」、送電設備の故障時にオンライン制御で瞬時に発電を停止させる機能を有する発電設備の接続を認める「N-1電制」、送電線容量を電力潮流が超過する時間は発電を制御すること(系統面の出力抑制)を了承した発電設備の接続を認める「ノンファーム接続」がある。

想定潮流の合理化とN-1電制は、それぞれ、2018年4月と2018年10月に適用が開始されている。しかし、これらを考慮しても東北エリア、茨城県・千葉県エリアの送電線空き容量不足は解消されておらず、茨城県・千葉県エリアでノンファーム接続の実証が行われる予定だ。長期的な送電線増強と合わせて系統面の出力抑制を了承したノンファーム接続の運用は、発電環境の良い地域でのVRE導入の芽を摘むことを防ぐだけでなく、過剰供給となった電力の利用方法や送電線を利用しない地産地消モデルの検討促進にも寄与するだろう。また、こうした状況下において、再エネ事業者には今後、系統が増強されるまでの期間で、電力需給面の出力抑制と系統面の出力抑制の2つの視点で対象市場を分析し、事業価値を評価することが求められる。

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