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経営トップがコミットしたうえで自社に適した推進体制を

ポジティブ・アクションに取り組もう(1/3)

  • *本稿は、『月刊人事労務実務のQ&A』 2012年6月号 (発行:日本労務研究会)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 社会政策コンサルティング部 コンサルタント 野中 美希

男女雇用機会均等法が施行されて25年経過し、職場での女性の活躍は目覚ましいものがあります。しかし、男性労働者の8割が正社員であるのに対し、女性は半数以上が非正規雇用となっているなど課題も目立ちます。男女労働者の格差を解消するための取り組み方法について考えてみます。

Q1 ポジティブ・アクションとはどのようなものですか

A 男女労働者間の格差が生じている状況を解消して、女性の能力発揮を図るために、個々の企業が進める自主的かつ積極的な取り組みです。

男女雇用機会均等法第8条に基づき、「事業主が、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずること」と定義されます。

言い換えれば、「個々の企業において、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から、(1)営業職に女性はほとんど配置されていない、(2)課長以上の管理職は男性が大半を占めている等の男女労働者間の格差が生じている状況を解消して、女性の能力発揮を図るために、個々の企業が進める自主的かつ積極的な取り組み」といえます。

Q2 なぜポジティブ・アクションに取り組む必要があるのですか

A 質的にも量的にも、未だに女性の活躍が進んでいるとはいえない状況にあるためです。

男女雇用機会均等法が施行されてから25年が経過し、以前より女性の社会進出が進んだという印象を男女ともに抱いているかもしれません。

しかし、内閣府「平成23年版男女共同参画白書」では、女性の就業希望者(*1)は25~49歳を中心に342万人と推計されるなど、依然として30歳代、40歳代を中心に女性労働力が潜在化しているのが実態です。

さらに、総務省「労働力調査」によれば、女性の雇用形態は2010年平均で53.8%が非正規雇用者と、男性の8割以上が正規雇用者であるのと比較して大きな差があります。また、正規雇用者であっても、コース別人事制度や以前から根付いている役割分担意識などにより補佐的業務にとどまる女性も多く、それらが労働の質や給与の差につながっています。女性管理職比率についても、EU諸国や米国では3~4割であるのに対して、厚生労働省「平成21年度雇用均等基本調査」によれば、日本における課長相当職以上の女性比率が5%に過ぎないことからも、女性が企業・経済活動において意思決定に参加する機会が限られていることがうかがえます。

このように、質的にも量的にも、未だに女性の活躍が進んでいるとはいえない状況にあり、ポジティブ・アクションが求められているのです。

Q3 ポジティブ・アクションの取り組みにはどのようなものがありますか

A 推進体制の整備、女性の採用や職域拡大、女性管理職の登用拡大、勤続年数の伸長(WLB制度の充実)、職場環境・風土の改善、人事評価制度の整備、能力開発(人材育成)が主な取り組みです。

取り組みには、主に(1)推進体制の整備、(2)女性の採用拡大、(3)女性の職域拡大、(4)女性管理職の登用拡大、(5)勤続年数の伸長(WLB制度の充実)、(6)職場環境・風土の改善、(7)人事評価制度の整備、(8)能力開発(人材育成)の8つの柱があります。

また、女性のみを対象とするまたは女性を有利に取り扱う取り組みと男女両方を対象とする取り組みの2種類があります。(2)女性の採用拡大、(3)女性の職域拡大、(4)女性管理職の登用拡大など、女性のみを対象にした取り組みは、男女間に生じている事実上の格差が解消されるまで暫定的に行われるものです。一方で、(5)勤続年数の伸長(WLB制度の充実)、(6)職場環境・風土の改善、(7)能力開発(人材育成)の取り組みの例として想定される、育児・介護休業制度などの充実、個人の能力・職務等に応じた公正な人事制度の導入、男女間の固定的な役割分担意識解消のための研修などは、男女両方を対象に行われるものであり、取り組みを支える施策として継続的な実施が求められるものです。

ポジティブ・アクションの主な取り組みと関係性

図表
(資料)各種資料をもとに筆者作成

Q4 ポジティブ・アクションは均等法違反にならないのですか

A 男女の均等な機会および待遇を実質的に確保するために必要となるものとして認められています。

男女雇用機会均等法では、労働者に対して性別を理由とした差別的取り扱いが禁止されていますが、その規定の遵守だけでは男女の格差解消は困難であるため、男女労働者間の事実上の格差を解消するための措置(ポジティブ・アクション)は、男女の均等な機会および待遇を実質的に確保するために必要となるものとして、法律に違反しないことが明記されています。

なお、実質的に生じている格差の解消のために女性を優遇することが法に違反しないと判断される基準は、一般に、一定区分、職務、役職において女性の割合が4割を下回っている場合とされています。

具体的に、どのような措置がポジティブ・アクションとして認められるかは、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(厚生労働省告示第614号、平成18年10月11日)に定められています。例えば、女性が4割に満たない職種の募集・採用に当たり女性を優遇して採用することや、女性管理職が少ない企業で昇進・昇格試験の受験を女性のみに奨励したり、昇進・昇格基準を満たす者のなかで女性を優先して昇進・昇格させること等が認められるものとして例示されています。

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