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太陽光発電の導入ポテンシャル(1/3)

  • *本稿は、『太陽エネルギー』 Vol.38 No.1 (日本太陽エネルギー学会、2012年1月31日発行)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 環境・資源エネルギー部 河本 桂一

1. はじめに

日本における太陽光発電市場は、これまでのところ専ら住宅用を中心とした拡大を見せているが、中長期的な大量普及のためには、住宅以外の分野(非住宅、未利用地等)への導入拡大が期待される。

太陽光発電の潜在的な導入ポテンシャルとしての導入可能量は、建物の屋根・屋上、用地面積などに対して設置可能な太陽電池モジュール面積が基本となる。これまでにも様々な推計がなされてきており、1990年代には太陽光発電技術研究組合(1)や電力中央研究所(2)による推計(いずれもNEDO委託業務)などが実施された。その後も太陽光発電導入の拡大とともに、NEDOや経済産業省(資源エネルギー庁)により高精度化等を目指した実施されたほか、環境省でも様々な再生可能エネルギーを対象とした推計を実施している。

導入ポテンシャルの推計には、どのような分野や施設を対象とするか、設置可能な面積の推計に際してどのような制約条件をどのように考慮するか、など様々な仮定が存在する。したがって、推計結果は「仮定により左右される」ものであり「正解はない」が、中長期的なエネルギー政策における太陽光発電に期待される貢献度を計るためには重要な目安であり、指標である。

本稿では、太陽光発電技術開発の一つの指針となっている「太陽光発電ロードマップ(PV2030/PV2030+)」(NEDO)、および2010年度に資源エネルギー庁および環境省でそれぞれ実施された太陽光発電の導入ポテンシャル推計を紹介するとともに、それらの俯瞰を試みる。

2. NEDO「太陽光発電ロードマップ(PV2030/PV2030+)」(3) (4)による導入可能量と物理的潜在量

2004年に「太陽光発電を2030年までに主要なエネルギーの一つに発展させること」を目標に太陽光発電ロードマップ(PV2030)が策定され、その後の状況変化を踏まえ、2009年に「PV2030+」として改定された。

この「PV2030/PV2030+」では、ロードマップに示した技術開発の進展に伴う国内導入可能量(~2030年)の推定に際し、その母数となる物理的潜在量(ポテンシャル)を示している。

2.1 国内導入可能量

図2.1および表2.1は「2030年までの技術発展を想定した国内推定導入量」である。標準的なケース(ケース2)でも100GW以上の太陽光発電導入が可能とし、これにより年間約1,100億kWhの電力が得られ、国内電力需要の10%、従量電灯契約電力量の1/3~1/2程度の電力供給が可能としている。

図2.1 NEDO:PV2030/PV2030+における、2030年までの技術発展を想定した国内導入可能量(3)

図1

ケース1:技術開発が産業界に任された場合
ケース2:技術開発とその実用化が2030年頃まで本ロードマップにより実施される場合(標準ケース)
ケース3:技術開発が前倒しで完成して、2030年頃には大規模発電の実用化も大規模に実現している場合
潜在量:戸建住宅や集合住宅、公共施設、未利用地等々の設置場所で、物理的に設置可能な導入量


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表2.1 NEDO:PV2030/PV2030+における、2030年までの技術発展を想定した国内導入可能量(単位:MW)(3)
設置場所 ケース1 ケース2 ケース3 潜在量
戸建住宅 37,100 45,400 53,100 101,000
集合住宅 8,200 16,500 22,100 106,000
公共施設 3,800 10,400 13,500 14,000
大型産業施設 5,100 10,200 53,100 291,000
道路・鉄道 0 14,800 16,400 55,000
民生業務 0 4,600 8,600 32,000
未利用地 0 0 35,000 7,386,000
合計 54,200 101,900 201,800 7,985,000

ケース1:技術開発が産業界に任された場合
ケース2:技術開発とその実用化が2030年頃まで本ロードマップにより実施される場合(標準ケース)
ケース3:技術開発が前倒しで完成して、2030年頃には大規模発電の実用化も大規模に実現している場合
潜在量:戸建住宅や集合住宅、公共施設、未利用地等々の設置場所で、物理的に設置可能な導入量

2.2 物理的潜在量

表2.2は同ロードマップに示された物理的潜在量である。未利用空間(遊休地等)も含めた導入対象分野を想定し、その合計は約8,000GWである。分野毎に、既存調査例えば(1)(5)や各種統計から対象施設数や施設面積、用地面積を整備し、施設あたり導入可能規模(kW/施設)や面積あたり導入可能規模(kW/m2)を想定・積算することにより、推計しれたものである。

なお、分野毎の推計方法(考え方)は原典(4)を参照されたい。

表2.2 NEDO:PV2030/PV2030+における、太陽光発電の物理的潜在量の推計結果(4)
表2.2

データ出所:(1)住宅・土地統計調査報告、(2)「非住宅分野における太陽光発電システム技術に関する調査研究」、(3)「太陽光発電評価に関する調査研究」、(4)工業統計表(用地・用水編)、(5)農業センサス

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