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マイナンバーのスタートで社会はどう変わるか

[連載]マイナンバーが企業活動・金融を変える 第3回(1/2)

  • *本稿は、『近代セールス』 2015年7月15日号(発行:近代セールス社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 経営・ITコンサルティング部 上席課長 近藤 佳大

どのような提出書類に記載が必要となるか!?

(1)提出書類へのマイナンバーの記載

国民の視点から見たマイナンバー制度による変化の1点目は、勤務先、市役所、証券会社、保険会社等に提出する書類に自分のマイナンバーを記載するようになることだ。

例えば、財形貯蓄を行う際に勤務先に提出する申告書(財産形成非課税住宅貯蓄申込書等)にマイナンバーの記載が必要になる。また、会社員であれば、税務署に書類を直接出す人は少ないかもしれないが、税務署に提出する書類にも自分のマイナンバーの記載が必要になる。

生命保険会社では、税務署へ提出する書類に保険金受取人のマイナンバーを記載しなければならないため、生命保険に加入する際にはマイナンバーを提出することになると見込まれる。具体的な方法は、法令に定められていないことから、生命保険会社により異なることが考えられる。

地方自治体関係の書類では(パブリックコメント段階の施行規則改正案によれば)、妊娠の届出(市町村)、予防接種を受けたことによる病気の手当ての申請(市町村)、養育里親申請(都道府県)、小児慢性特定疾病児童等医療費支給認定申請(都道府県)などにマイナンバーを記載することになる。

一方、法人は、法人番号を各種書類に記載することになる。法人番号については、利用に法規制がないことから、政府ではその活用拡大を目指しており、法令に定められた書類だけでなく、国関係の業務を行う場合に幅広く法人番号の提供を求められることになる可能性がある。

通知カードを番号カードに切り替えることができる

(2)通知カードまたは番号カードの保持

保持各種書類に自分や家族のマイナンバーを記載することができるように、今年10月から順次、通知カード(図表1)が簡易書留で届けられる。法律では市町村が各人の個人番号を通知カードにより通知することと定められているが、実際は市町村から委託を受けて地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が各家庭に送付することになる。各人にではなく、家族単位で送付される予定となっている。

通知カードと一緒に送られてくるのが、「マイナンバーの説明書類」と「個人番号カードの申請書と返信用封筒」だ。希望者は、個人番号カードの申請書に記入し、写真を同封して郵送することで、通知カード(紙カード)を個人番号カード(ICカード)に切り替えることができる。申請書には氏名、住所等がすでに印刷されており、自分で記入する手間はかからない。

個人番号カードへの切替えの申込みは、郵送以外にスマートフォンで撮影することでも可能になる予定だ。マイナンバー制度の直接的な効果というわけではないが、スマートフォンで公的な手続きの申込みができるようになるというのも、非常に大きな社会の変化といえるだろう。

個人番号カードの受取りは、市区町村の窓口に行く必要があり、郵送で済ますことはできない。これは、他人に個人番号カードを取得されることを防ぐためである。受取時には、運転免許証等で本人確認が行われる。

個人番号カードは現行の住民基本台帳カードの後継カードでもある。市区町村によっては住民基本台帳カードが無料の場合もあるが、一般的には500円程度の有料となっている。これに対して、個人番号カードは当面無料で取得できる予定である。

ただし、いつまで個人番号カードの取得が無料で続くかは不明であり、いずれ個人番号カードを入手することになるのであれば、無料の間に取得しておくのが得策とも考えられる。

一方で、将来的に政府は健康保険の被保険者証と個人番号カードを一体化することを検討しており、各人にとっては個別の費用負担なく、将来健康保険の被保険者証として個人番号カードが配られる可能性もある。


図表1 通知カードのサンプル
図表1


1年後から行政機関間の情報授受の把握が可能に

(3)マイナポータルの利用開始

マイナンバーの利用開始の1年後の平成29年1月から、自分のどの情報がどういう理由で行政機関等の間で授受されているかを閲覧することができる「マイナポータル」が利用できるようになる。

これまでも(今でも)、国と地方公共団体の間や、地方公共団体同士で様々な情報授受が行われているが、実際にどの程度行われているかを各人は把握することができない。

マイナポータルが開始されれば、マイナンバー制度に基づいて授受される情報に限られるものの、行政機関間での情報授受の状況を各人が容易に把握することができるようになる。これは、マイナンバー制度で大きく変わる点の一つといえるだろう。

このときに、マイナポータルにアクセスしている人が本人であることを確認するために用いられるのが個人番号カードである。ICカードリーダーの購入が必要となるが、パソコンに個人番号カードをかざすことで、厳密に本人であることが認証できる。

これは、IDとパスワードで本人認証するよりも安全な方法である。IDとパスワードの場合、パスワードが漏れる可能性があるが、ICカードを利用する場合、ICカードが手元にある限り、他人が成りすましてマイナポータルにログインすることはできない。

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