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一般民間企業における国税関連マイナンバー対応

[連載]マイナンバーが企業活動・金融を変える 第7回(1/2)

  • *本稿は、『近代セールス』 2016年1月15日号(発行:近代セールス社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 経営・ITコンサルティング部 上席課長 近藤 佳大

12月中に受け取っていれば申告書への記載は不必要

(1)扶養控除等(異動)申告書への個人番号の記載について

民間企業におけるマイナンバー制度対応の最初の山場は、この1月の給与日までに社員から提出してもらう扶養控除等申告書への対応であろう。第5回で紹介したように、12月中に従業員から扶養控除等申告書を受け取っていれば、個人番号の記載は必要ない。

国税庁の源泉所得税関係に関するFAQには「平成27年中に個人番号の記載のない扶養控除等申告書を受領した場合、平成28年以降、従業員に従業員等の個人番号を補完記入してもらう必要はありません」との回答があるため(Q1-6)、後から追記する必要がないことも明確となった。

扶養控除等申告書にあらかじめ企業側で内容を印字したうえで従業員に配布し、押印を求める運用を行ってきた企業も多いと考えられる。こうした企業の中には、個人番号をあらかじめプリントする企業も多いだろう。そのほうが番号確認の負担等が少なくて済むと考えられるからである。

このプレプリント(事前印刷)に個人番号も含めてよいことも、同FAQで示された。Q1-13において「番号法上可能であると解されます」とされている。

ただし、「所得税法上、扶養控除等申告書の提出者は、必要事項(氏名、住所、個人番号等)を記載した申告書を、給与支払者に提出することとされています」と記載されており、法律では従業員が記載することになっている。FAQの回答でも「印字された個人番号を従業員本人が確認することにより個人番号を従業員本人が記載した状況と同様の状態とすることについて、従業員本人と給与支払者の間で了解されているのであれば」という前提が付いている。

このように法律上、誰が個人番号を記載することになっているのかが問題となるのは、それにより、扶養控除等申告書に記載された扶養家族の番号確認を誰が行う義務があるのかが変わってくるからである。

扶養控除等申告書に記載された扶養家族の個人番号が正しいことを確認する法令上の義務は、会社ではなく従業員にある。そのため「印字された個人番号を従業員本人が確認すること」が重要になり、国税庁はそれが実施されることを求めているのだと考えられる(図表1)。

FAQには扶養控除等申告書のみ記載されているが、年末調整時の「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」も、所得税法上、社員が必要事項(氏名、住所、個人番号等)を記載して給与支払者に提出する書類という点で扶養控除等申告書と同じである。

そのため、同じようにプレプリント対応が可能と見込まれる。FAQの回答内容に「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」についても記載が加わることを期待したい。


図表1 扶養控除等申告書における書類提出義務と番号確認義務の関係
図表1

国税庁のHPに記載されたFAQの留意事項の確認を

(2)扶養控除等(異動)申告書への個人番号記載省略も可能に

国税庁のFAQでは、さらに民間企業の負担を軽減するため、扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略することも可能なことが示された(Q1-9)。自民党・公明党の平成28年度税制改正大綱では、平成29年分以降記載を不要とする方針も出されている。

少し長くなるが、FAQの回答は以下のようなものだ。 「給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に『個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない』旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載をしなくても差し支えありません」

ポイントは、従業員がすでに提出している個人番号から変更がないことを記入し、また企業側でも確認したことを申告書に記載するという点であろう。

また、同回答では注意事項として以下が記載されている。「給与支払者において保有している個人番号と個人番号の記載が省略された者に係る個人番号については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります」

この他にも留意事項があるため、この方式を採用する場合には、国税庁のホームページに記載されたFAQの留意事項を確認することが必要となる。

特に留意が必要と考えられるのが、従業員およびその扶養家族の個人番号を、扶養控除等申告書の保存期間(7年間)は、廃棄・削除できなくなること。申告書と別途管理している個人番号について申告書の廃棄期限に合わせて廃棄するのは、比較的難しい運用になると考えられる(図表2)。

こうした点も考慮し、扶養控除申告書に個人番号を記載するか、「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」と記載するかを決めていく必要がある。

プレプリントと同様に、個人番号記載省略が可能な点も、年末調整時の「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」についても当てはまると見込まれる。

平成29年1月にも、また扶養控除等申告書を提出する。申告書に個人番号を記載するのは今回の扶養控除等申告書のみにして、以後は記載しないことにすることも選択肢の一つであろう。


図表2 個人番号を申告書に記載しなかった場合の別途収集した個人番号の廃棄のタイミング
図表2

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