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一般民間企業における雇用保険関連マイナンバー対応

[連載]マイナンバーが企業活動・金融を変える 第8回(1/2)

  • *本稿は、『近代セールス』 2016年2月15日号(発行:近代セールス社)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 経営・ITコンサルティング部 上席課長 近藤 佳大

従業員の本人確認書類は国税庁が定める書類と同じ

雇用保険関係の書類において、個人番号の記載が必要となるのは、[1]雇用保険被保険者資格取得届、[2]雇用保険被保険者資格喪失届、[3]高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書、[4]育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書、[5]介護休業給付金支給申請書の5種類である。

個人番号の取扱いは、前半の二つの書類([1]、[2])と後半の三つの書類([3]、[4]、[5])で大きく異なる(注1)

(1)会社に提出義務がある書類

前半の[1]と[2]については、会社にハローワーク(公共職業安定所)への提出義務がある。

そのため、書類に個人番号を記載する義務についても会社にあり、従業員から個人番号の提供を受ける際に必要な本人確認の義務も会社にある(図表1)。この義務は、雇用保険法第7条に定められている。

番号の提供を従業員から受ける際の本人確認の方法については、番号の記載が必要となる直前の昨年12月まで未定であったが、国税庁が定める書類(国税庁告示)と同じであることが昨年12月18日に示された。

そのため、国税庁の定めに従って本人確認を行っていれば、雇用保険関係の書類にもその個人番号を記載することができる。

本連載の前回、国税庁告示では「会社が氏名および出生の年月日または住所をあらかじめプリントした書類に個人番号を記載してもらう場合には、別途身元確認書類は不要なこと」を紹介した。

雇用保険の場合においても、この方式でも問題ないことが明確になったといえる。

図表1 個人番号提供の流れ
図表1

企業が代理人となる場合は3種類の書類の提出が必要

(2)社員に提出義務がある書類

一方、後半の[3]から[5]の3種類の書類は、従業員本人に提出義務がある。

例えば[3]の場合、雇用保険法施行規則の第101条の5において、「被保険者は(中略)公共職業安定所の長に提出しなければならない」と定められている。被保険者は社員各人なので、各社員にハローワークへの提出義務があることになる。

しかし実際には、会社が提出している場合がほとんどであろう。これは、雇用保険法施行規則で、労働組合等と協定がある場合には会社が提出できることが定められているからである。

例えば、[3]の雇用継続給付の場合には、第101条の8において「事業主は(中略)被保険者に代わって(中略)高年齢雇用継続給付支給申請書の提出をすることができる」とされている。「被保険者(=社員)に代わって」とあるので、社員の代理人として会社が書類を提出するということになる(図表2)。

代理人が個人番号を提出する際の本人確認については、番号法施行令の第12条第2項において、[A]代理権の確認、[B]代理人の身元確認、[C]本人の個人番号確認を行う必要があることが定められている。この3種類の確認を行う必要があるのは、ハローワークである。企業は、ハローワークがこの3種類の確認が行えるように書類をそろえて提出する必要がある。

[A]代理権の確認については「個人番号についても協定に基づき届け出る」旨の確認書をハローワークに提出する。これは、一度行えば十分である。確認書の様式は、厚生労働省ホームページ上の「マイナンバー制度(雇用保険関係)」のページに掲載されているので、これを参考に準備しておくとよいだろう。

ただし、「個人番号についても協定に基づき届け出る」旨の確認書を提出する方式は、会社から申請書を過去に提出したことがある場合に限られ、新規設立の会社など初めて書類を提出する会社の場合には、協定の写しか従業員からの委任状提出が必要となる。

委任状は、申請書自体に「個人番号の提供に関し、上記の事業主を代理人と認めます」と従業員が自署すれば十分とのことであり、この方法によるのが簡易だろう。自署は難しいということであれば、様式を会社で用意した別紙の委任状への記名、押印等のほうが容易かもしれない(図表3)

図表2 会社が代理人となる場合の流れ
図表2


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図表3 申請書の有無による対応の違い
区分 実施内容
すでに会社から申請書を提出したことがある場合 「個人番号についても協定に基づき届け出る」旨の確認書をハローワークに提出
新設企業等、初めて申請書を提出する場合 労使協定の写しを提出
委任状を提出 申請書に個人番号の提供について事業主に委任する旨を従業員が自署
申請書と別途委任状を提出

最も負担の大きい作業は個人番号確認書類の確認

[B]代理人の身元確認については、実際にハローワークを訪問する提出者の社員証またはその写し等を提示することとなっている。

実務としてはこれだけでよく、難しい点はないが、これはハローワークに会社の登記事項証明書をすでに提出していることが前提だ。もしハローワークに登記事項証明書を提出する手続きを別途していなかったとしたら、登記事項証明書の提出も必要になる。

[C]本人の個人番号確認は、従業員の個人番号カードの写し、通知カードの写し、個人番号が記載された住民票記載事項証明書の写しのいずれかを提示する(本稿執筆時点では、国税庁で認められている「自身の個人番号に相違ない旨の本人による申立書」などは示されていない)。

この個人番号確認書類の用意が、企業にとっては最も負担の大きな作業になると考えられる。

実務的な対応としては、[ア]申請書へ従業員に記名・押印してもらう際に、一緒に通知カードのコピーの提出を求める方法、[イ]税務のためなどに個人番号の報告を受けた際の通知カードのコピー・スキャンデータ等を保管しておく方法などの対応が考えられる。

個人番号の確認書類がない場合には、申請書に個人番号が書かれていても、ハローワークでは、その個人番号を黒塗りし読めなくしたうえで受理するため、後日、個人番号の確認書類を添えて、個人番号を届出ることになる。個人番号確認書類がなかったとしても、申請書自体は受理される。


  1. (注1)本稿執筆後、省令改正の方針が出され、[1]~[5]は同じ取扱いとなる方向性となった。

2016年2月16日に雇用保険法施行規則が改正され、本稿記載の[1]~[5]の書類全てが、「会社に提出義務がある書類」となりました。併せて、2月16日の省令改正では、従業員の個人番号が変更になった際には、ハローワークに届け出ることが義務化されました(施行規則第14条の2)。

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