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業務の自動化を理解する RPA入門(1/3)

  • *本稿は、『銀行法務21』 2018年7月号(発行:経済法令研究会)に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 経営・ITコンサルティング部 佐久間 敦

昨今、「RPA(Robotic Process Automation)」という言葉が、メディア等で取り上げられる機会が増えてきた。RPAは、一言で言えば、ソフトウェアによるロボット化により、業務を自動化・効率化するためのツールである。業務効率化や構造改革に取り組む各大手金融機関が相次いで採用を決め、一気に注目を浴びるようになった。

本稿では、RPAの特徴やその可能性、導入・運用におけるポイントについて解説する。

一 RPAの概要

1 RPAとは

RPAとは、一般に、簡単な判断を伴うデータ入力・加工・収集・チェックが可能なソフトウェアのことを指す。RPAでは、従来人間がパソコン上で行ってきた定型作業を、パソコンにインストールしたソフトウェアロボットが代替して自動的に処理することが可能になる。つまり言い換えれば、RPAは人手で行う作業の自動化を実現するツール、ということができる(【図表1】参照)。

【図表1】RPAのイメージ
図表1

2 RPA普及の背景

金融機関をはじめとする多くの企業・組織において、RPAが着目され、導入されるようになった背景として、以下の2点のような要因が挙げられる。

一つは、経営の効率化・生産性向上の観点である。かねてより、日本のホワイトカラーの生産性の低さが指摘されており、先進国中最下位との調査結果もある。

とりわけ、金融機関においては、長引くマイナス金利政策の影響を受け経営環境は厳しさを増しており、抜本的な構造改革を伴う収益力向上が求められている。多くの金融機関では、間接部門の人員をフロントに配置転換することで営業力強化を図ろうとしているが、その前提として、間接部門等の業務プロセスを極力省力化し、事務量全体の削減をすることが経営課題となっている。前述のとおり、RPAは、人がパソコンを使って行っている定型的な事務作業を自動実行するツールであり、経営の効率化・生産性の向上に大きな効果をもたらすものと期待されている。

もう一つは、近年、長時間労働問題を契機に、仕事の仕方そのものを見直そうという「働き方改革」の機運が業種・業界を問わず高まっていることが挙げられる。総労働時間の削減が至上命題となっているなかで、企業が競争力を維持するためには、日常業務を回すための定型作業・単純作業に掛けている時間を減らし、より付加価値の高い創造的な業務に時間をシフトさせる必要がある。RPAは、こうした時流にも乗って、関心が一気に高まった。

3 RPAでできること

前述のとおり、RPAでできることは、基本的に人がパソコン上で行っている各種の作業・操作である。RPAによって自動化できる主な作業を示したのが【図表2】となる。RPAでは、人が行うマウスやキーボードの操作をロボが自動で実行し、エクセルやメール、ウェブブラウザといった汎用ソフトウェアから、自社で構築した基幹システムや分散システムまで、一部技術的な制約がある場合もあるが、コンピュータシステムを使ったあらゆる作業が自動化の対象となる。応用場面がきわめて広いのがRPAの特長の一つといえる。

加えて、RPAの優れた特性の一つは、基本的に社内の既存システムに手を加えることなく導入できる手軽さにある。例えば、金融機関で勘定系システムや基幹系システムを改修しようとすると、多大なコストと時間が発生するが、RPAは、あくまでもパソコン上で人が現実に行っている操作行為そのものをロボが代替するだけなので、既存システムに手を加える必要はない。

また、RPAでは、こうした自動処理を実行するソフトウェアロボを容易に開発できることも魅力のひとつである。多くのRPA製品では、人が通常の業務の中で実際に行っているマウスやキーボードの操作を記憶し、「動作シナリオ」として保存する機能を備えている。この動作シナリオをそのまま(あるいは一部修正したうえで)ロボに実行させることで、人の作業を忠実に再実行することが可能となる。これまではこうした自動化処理を実現するソフトウェアを開発しようとすると、複雑なプログラミング言語の知識が必要であったが、RPAではプログラミングの専門知識のない人でもある程度のロボ開発は可能である。こうした導入・利用のハードルの低さから、システム部門以外の現場職員が自身の業務で活用するロボを独自に開発・運用するケースも少なくない。

【図表2】RPAによって自動化できる作業
図表2

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