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2030年超高齢社会の実像

  • *本稿は、『週刊東洋経済』 2019年8月24日号(発行:東洋経済新報社)の「経済を見る眼」に掲載されたものを、同編集部の承諾のもと掲載しております。

みずほ情報総研 主席研究員 藤森 克彦

国立社会保障・人口問題研究所は、今年4月までに2015年の「国勢調査」を基準にした人口と世帯数に関する4つの将来推計を発表した。今後の高齢化の進展状況を見ると、30年の65歳以上人口は15年よりも10%増加し、高齢化率は15年の27%が30年には31%になるという。今後も進展していく高齢化は、社会にどのような影響をもたらすのか。

筆者が注目するのは、日本の高齢化は単に65歳以上人口が増えるだけでなく、「後期高齢者化(75歳以上高齢者の増加)」「単身化」「未婚化」を伴って進んでいく点である。むろん、将来推計はこれまでの傾向を投影した将来像であって確定した未来ではない。しかし、この傾向は今後も続く可能性が高い。以下、今回の推計に基づく30年の姿を15年と比べていこう。

まず後期高齢者化を見ると、30年の後期高齢者数は、15年に比べ実に40%の増加となる。また、65歳以上の高齢人口に占める後期高齢者の割合を見ると、15年の48%が30年には62%に高まっていく。一方、65~74歳の前期高齢者数は、同期間内で19%減少する。つまり、高齢化といっても、増えていくのは後期高齢者である。

ところで、要支援・要介護の認定を受けた人の割合(14年度)は、前期高齢者では4%なのに対して、後期高齢者では33%に高まる。今後、介護需要の増加が予想されるので、介護人材の確保などが不可欠だ。他方、多数を占める介護を要しない後期高齢者には、社会参加の場が重要になるだろう。

次に単身化を見ると、65歳以上の単身(一人暮らし)高齢者数は、15年から30年にかけて27%増加していく。高齢人口に占める単身高齢者の割合は、15年の18%が30年には21%になる。

単身高齢者の増加に伴い懸念されるのは、男性を中心に孤立する人の増加である。例えば、会話頻度の調査では、高齢単身男性の15%が「2週間に1回以下」しか会話をしていないという。

最後に未婚化を見ると、30年の65歳以上の未婚者数は、15年の2倍になる。高齢人口に占める未婚者の割合も、15年の5%が30年には8%になっていく。とくに高齢男性で未婚率の上昇が著しい。

そして未婚化の進展は、未婚の単身高齢者の増加につながる。すでにこの傾向は顕在化しており、15年における70代の単身男性の25%は未婚者である。未婚の単身高齢者は、配偶者と死別した単身高齢者と異なって、子どもがいないことが考えられる。老後を家族に頼ることが一層困難になるだろう。

求められる1つの対策は、地域コミュニティーの強化である。この点、欧米では高齢者に占める単身者の比率が日本よりも高い傾向があるが、地域などによる支え合いも強いようだ。内閣府が日本と欧米3カ国の高齢者を対象に実施した調査(15年)によれば、「病気のときや日常生活の作業が必要なときに、頼れる人は誰か」を単身高齢者に尋ねると、日本は別居家族の比率が他国よりも高いが、近所の人や友人の比率は著しく低い。

住民が交流し、支え合える地域をつくることは、今後のカギだ。

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