ページの先頭です

みずほ情報総研技報 Vol.9 No.1

目次

巻頭言

左右スクロールで表全体を閲覧できます

巻頭言
サイエンスソリューション部長 池田基久
(PDF/160KB)

特集:安心・安全な社会に向けて

左右スクロールで表全体を閲覧できます

01.BCM津波シミュレータを用いた確率論的ハザード解析
勝又源七郎、荒木和博、筧雅行、秋山実 (概要
(PDF/3,148KB)
02.Abaqusによる動力学的断層破壊シミュレーション
―破壊伝播速度の摩擦構成則パラメータに対する依存性評価―

今井隆太、山田雅行、羽田浩二、藤原広行 (概要
(PDF/1,228KB)
03.原子力プラント過酷事故解析コードSAMPSONを用いた炉心損傷に関わる実験解析
溝内秀男、森田能弘、アレサンドロ コスタ、マルコ ぺリグリニ、鈴木洋明、内藤正則 (概要
(PDF/1,395KB)
04.システムを対象とした半定量的な安全解析の試み
後藤伸寿 (概要
(PDF/610KB)

特集:ものづくりを支える

左右スクロールで表全体を閲覧できます

05.OpenFOAMを用いたスピンコートプロセスの塗布シミュレーション事例紹介
篠崎明 (概要
(PDF/973KB)
06.アノード側の制御を考慮した燃料電池セルおよびスタックの非定常挙動の解析
高山務 (概要
(PDF/1,710KB)
07.3DEXPERIENCE SIMULATIONによる設計・解析の効率化
小坂部和也,宮本裕平,近藤治 (概要
(PDF/873KB)
08.生物規範工学に関する調査研究(研究・開発事例紹介)
瀧見知久 (概要
(PDF/530KB)

特集:材料科学からのイノベーション

左右スクロールで表全体を閲覧できます

09.有効遮蔽媒質法(ESM法)による物質表面での電位の正しい計算法
渡辺尚貴 (概要
(PDF/682KB)
10.材料設計における原子・分子スケールシミュレーションの利用動向
谷村直樹,加藤幸一郎 (概要
(PDF/925KB)
11.材料開発の新潮流
―マテリアルズインフォマティクス―

加藤幸一郎,谷村直樹 (概要
(PDF/446KB)

特集:シミュレーションの展開

左右スクロールで表全体を閲覧できます

12.シミュレーション解析における機械学習の展開可能性
宮川尚紀 (概要
(PDF/261KB)
13.AMG行列解法ライブラリの新機能の紹介
永野勝尋 (概要
(PDF/226KB)
14.シミュレーションの普及拡大に関する考察
―これまでの10年、これからの10年―

加藤大輔 (概要
(PDF/270KB)
  • *PDFのダウンロードに時間がかかる場合がございます。ファイルサイズにご注意ください。

概要

01.BCM津波シミュレータを用いた確率論的ハザード解析
我が国は繰り返し津波の脅威にさらされ、特に日本海溝や南海トラフ等のプレート境界の断層に起因した巨大地震に伴う津波では、非常に広い範囲で甚大な被害をこうむってきた。近年、これらの津波の影響について、原子力分野を中心に確率論的手法を用いたハザード評価が実施されている。本稿では、Building Cube Methodに基づく津波シミュレータを用いることにより、日本全国の複数地点における確率論的津波ハザード評価を効率的に実施した事例を紹介する。

02.Abaqusによる動力学的断層破壊シミュレーション
―破壊伝播速度の摩擦構成則パラメータに対する依存性評価―

近年、重要構造物の近くに活断層の可能性がある断層が発見されるなどの報道もあり、断層の極近傍における地震動評価の重要性が増している。地震波は断層が破壊することによって発生するが、破壊過程は摩擦などの不均質で複雑な現象に支配されており、断層近傍では破壊過程の不均質性の影響が顕著に現れる。破壊過程の不均質性を調べることを目的として、断層面の摩擦に着目した動力学的モデルに基づく断層破壊シミュレーションを行う。今回は、摩擦を含む接触相互作用のモデリング機能が豊富なAbaqusを用いて、摩擦構成則パラメータや断層面の形状を変えた場合の断層破壊シミュレーションの事例を紹介する。

03.原子力プラント過酷事故解析コードSAMPSONを用いた炉心損傷に関わる実験解析
東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に向け、 炉内状況や燃料デブリの分散状況を把握することは今日重要な課題となっている。特に炉内の詳細な内部調査が難しい現状では、 数値計算による炉内状況把握は重要な手法の一つであり、 その取り組みの一環として、 この数年、 原子力プラント過酷事故解析コードSAMPSONを用いた福島第一原子力発電所事故解析が国のプロジェクトとして行われている。このプロジェクトでは事故解析に用いられるモデルやパラメータをより妥当なものにするために、 原子力過酷事故に関わる実験解析も同時に行われている。本稿では、 SAMPSONコードを用いた実験解析のうち、 炉心溶融物の流出経路に関わる実験解析としてXR2-1の実験解析を、 原子炉炉心損傷そのものに関わる実験解析としてCORA-18の実験解析の結果を紹介する。

04.システムを対象とした半定量的な安全解析の試み
近年開発されたシステムの多くは、ソフトウェアやネットワークが重要な役割を果たし、大規模化・複雑化が進んでいる。一方、システムは社会基盤を支え、障害(アクシデント)が発生した場合の影響が計り知れないことから、システムの安全について事前に十分な検討・解析・評価を実施することが要求される。本稿では、システム理論に基づく新しいアクシデントモデルSTAMP(Systems-Theoretic Accident Model and Process)と、STAMPに基づく新しい安全解析手法STPA(STAMP based Process Analysis)と同手法に係る動向について事例を交えて紹介し、アクシデントに発展するシナリオの発生確率を半定量化しシステムの安全解析を行うことを試みた。

05.OpenFOAMを用いたスピンコートプロセスの塗布シミュレーション事例紹介
スピンコートは半導体や光学機器などの分野で広く使われている薄膜を生成する手法である。基板上の配線や電極などの微細構造の影響を受け、一般に、生成される薄膜表面は必ずしも平にはならない。光学機器などでは薄膜表面の凹凸が製品スペックに影響することから、薄膜表面の凹凸サイズを小さくするため基板上の微細構造の形状やスピン条件の調整が行なわれる。この調整は実験・試作を中心に行なわれることが多い。本報では、実験・試作の負荷低減を目的とした流体シミュレーションの紹介として、基板上の微細構造の形状、スピン条件が薄膜表面の凹凸に与える影響について計算した事例を示す。

06.アノード側の制御を考慮した燃料電池セルおよびスタックの非定常挙動の解析
固体高分子形燃料電池シミュレータ P-Stackを使用し、水素極(アノード)側のインジェクタ、循環系、および排出口の制御を考慮して、固体高分子形燃料電池セルおよびスタックの非定常挙動の解析を行った。インジェクタ、循環系、および排出口は境界条件としてモデル化した。セルについての計算結果は圧力制御下や内部ガスのパージ時の非一様な非定常挙動を示しており、運転条件に対する依存性も確認された。スタックについての計算は、スタックされたセル間で圧力制御に対する差異を示しており、局所的な水素欠乏の可能性などを考慮するうえで重要となる可能性がある。こうした情報は燃料電池スタックシステムの制御設計を行ううえで有用である。

07.3DEXPERIENCE SIMULATIONによる設計・解析の効率化
製造業の設計・解析の作業工程において、CADやCAEが活用される機会が増えてきているが、ファイルのコピー、検索や管理に起因する作業ミスの発生、不十分な意思疎通等の課題が顕在化している。ダッソー・システムズ株式会社(以下、ダッソー・システムズという。)が開発、販売をしている製造業の基幹プラットフォーム“3DEXPERIENCE”とその物理シミュレーションに係わる機能“3DEXPERIENCE SIMULATION”を導入することで、この課題を解決することが期待できる。本稿では、“3DEXPERIENCE SIMULATION”を用いた設計・解析の効率化のソリューションを紹介する。

08.生物規範工学に関する調査研究(研究・開発事例紹介)
生存競争の中で進化してきた生物機能は工学的に優れている場合が多く、 それら生物機能を参考にブレイクスルーを生み出す開発スキーム「生物規範工学」が注目を集めている。 さらに近年ではAI・IoTの需要の高まりとともに、 その重要性がますます高まっている。 本稿では生物規範工学の事例を(1)流体力学的応用(2)材料技術(3)システム・アルゴリズムの3分野に分類し紹介する。 さらに生物と工業製品の比較を通じ、 生物規範工学における課題・将来展望を論じる。

09.有効遮蔽媒質法(ESM法)による物質表面での電位の正しい計算法
電荷を帯びた物体がつくる静電場の計算はミクロの材料解析からマクロの構造解析に渡る広い分野での初等的かつ基本的な計算である。三次元空間の格子点での電荷分布が作る電位の代表的な計算法としてフーリエ変換を用いて計算する方法がある。しかしながらフーリエ変換は電位を系の周期の平面波で展開するため、電荷を帯びた物体が周期的に配置されたモデルでの場が計算される。このモデルは特に物質表面での電位を解析する目的には不都合である。本稿ではこの問題の解決するため近年に東京大学の杉野修准教授と産業技術総合研究所の大谷実博士が考案した有効遮蔽媒質法(ESM法)1)を詳細に紹介する。

10.材料設計における原子・分子スケールシミュレーションの利用動向
弊社では、材料・分子などの材料設計を必要とするお客さまに向け、原子・分子スケールシミュレーションを用いた解析サービスを提供しており、本サービスの利用動向として、利用の現状や解析事例を紹介する。解析事例については、企業からの解析依頼について類型化して示すとともに、研究機関からの依頼に基づく先進的な事例を紹介する。

11.材料開発の新潮流
―マテリアルズインフォマティクス―

近年、各所で“Materials Informatics(以下、MI)”が取り沙汰されており、この言葉を耳にされた方も多いのではないだろうか。MIは米国のMaterials Genome Initiativeを発端に世界中に広がった材料開発の新たな流れであり、材料科学とデータ科学の融合によって材料開発から実用化に要する時間・コストを大幅に削減しようという試みである。本稿では、MIに関する世界・日本の取組状況と適用事例、今後の課題について紹介する。

12.シミュレーション解析における機械学習の展開可能性
機械学習をはじめとするデータサイエンスの技術が近年注目されている。この技術とCAEにおけるシミュレーション技術は、それぞれデータ駆動とする帰納的な手法かモデル駆動とする演繹的な手法かという方法に違いはあるものの「獲得されたデータに基づき、未知の現象を予測する」という問題の構造は共通のものである。この2つを組み合わせることにより、予測の高速化や構造最適化への活用が期待される。

13.AMG行列解法ライブラリの新機能の紹介
AMG行列解法ライブラリのリファクタリングと新機能の追加を行った。リファクタリングで採用したAMG法向きのデータ構造と新機能について解説する。

14.シミュレーションの普及拡大に関する考察
―これまでの10年、これからの10年―

ここ10年、コンピュータシミュレーションの活用シーンは大きな広がりを見せている。これは、Windowsの64bit版やマルチコアCPUの普及に伴い良質な計算環境を安価に入手できるようになったこと、ならびにソフトウェアの使い勝手向上が寄与していると思われる。今後、コンピュータシミュレーションはクラウド上の計算専用サーバー活用により更に大規模化が進むと思われるが、その性能をフルに発揮させ、解析精度を向上させることが解析専任者の使命であり、そのための能力発揮が求められている。

ページの先頭へ