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[特集] 高精度測位社会の到来

《コラム》 屋内という「秘境」開拓に向けて

カーナビやタクシー配車、高齢者の見守り、あるいはマーケティングへの活用など、現在私たちはさまざまな形で位置情報を活用したサービスの恩恵を受けている。そのほとんどはGPSなど準天頂衛星を使った測位技術によるものだ。しかし、ビル内や地下構内などの屋内環境は、地図もなく衛星の電波も届かない「秘境」である。

秘境開拓には、3つの課題をクリアすることが必要だ。課題の1点目は、屋内測位の技術が標準化されていないことである。現在、IMESやWi-Fi、Bluetooth Low Energy(BLE)といった無線電波、あるいは音波を発信する機器(ビーコン)を設置し、測位する技術が検証されている。特にBLEは、AppleがiBeacon、GoogleがEddystoneといったサービス仕様を展開し、ブレークスルーを迎えようとしている。

国内では、国土地理院が整備するインテリジェント基準点に採用されているコード仕様「ucode」を活用してBLE測位を進めようとする動きもある。ただし、それぞれの仕様に相互互換性がないため、主導権を握るのはどれかを見極めようとする事業者も多い。

2点目は、屋内地図のデジタル化が進んでいないことである。位置測位と地図および地図に付加される情報(たとえば住所や施設情報など)が揃ってはじめて屋内測位環境が整備され、相応のサービスを提供することが可能になる。しかしこれも主要駅や商業施設など一部の事業者が独自に整備しているに過ぎない。

最後に、国内での測位環境の整備は府省主導で進められているが、誰に何の便益をもたらすのかが明確に伝わっておらず、各事業者の理解や協力が面的な広がりを見せていないことも挙げられる。

位置情報サービスの今日の隆盛は、米国政府が軍事目的で整備したGPS衛星による高精度の測位技術を無償で開放したことに拠るところが大きい。屋内でも施設管理者や地権者、行政それぞれが便益を共有し、測位技術や設備のオープン化を積極的に推進していくことが望ましい。


平古場 浩之

平古場 浩之
みずほ情報総研
経営・ITコンサルティング部
チーフコンサルタント

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