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フィナンシャルエンジニアリングレポートVol.30

Cash-Settledスワップションの無裁定プライシング

2018年12月
みずほ情報総研 マーケッツデジタルテクノロジー部 谷 栄佑

1. はじめに

ヨーロピアン・ペイオフを有する金利スワップションの決済方法は2種類に大別され、本邦や米州市場で一般的なPhysical-Settledスワップションと欧州市場で流動性の高いCash-Settledスワップションがある。Physical-Settledスワップションは権利行使時に事前に決められた条件のスワップ取引が執行されるが、Cash-Settledスワップションでは実際のスワップ取引が開始されず差金による決済が行われる。両商品の流動性が高いことに加えて市場参加者も多いという背景から計算の簡便さを優先し、これらのプライシングにBlack公式を用いる方法が市場内で定着している。しかしCash-Settledスワップションの場合にこの市場慣行は正当化されない。誤ったプライシングによる裁定機会の存在がMercurio[2]により指摘されており、その後Lutz[1]が具体的な裁定戦略を発見した。従来プライシング技法が近年のオプション市場に馴染みにくくなって久しいことに加え、欧州マーケットで一部ブローカーが特殊な方法による建値を開始しているため、市場整合的なプライシング手法の登場が期待されている。そこで本稿では、Cash-Settledスワップションに絡んだ近年の問題点を整理しPietersz[3]らによる改善モデルを紹介する。

参考文献

  1. [1]Lutz, M. (2015).
    Two Collars and a Free Lunch
  2. [2]Mercurio, F. (2007). No-arbitrage conditions for cash-settled swaptions. Technical report, Banca IMI. 2.
  3. [3]Pietersz, R., & Sengers, F. (2017).
    Cash-Settled Swaptions: A New Pricing Model
  • 本レポートは当部の取引先配布資料として作成しております。本稿におけるありうる誤りはすべて筆者個人に属します。
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