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社会動向レポート

自分らしく人生の最終段階を迎えるために

人生100年時代、高齢期に向けて準備すべきこと(1/3)

社会政策コンサルティング部 チーフコンサルタント 羽田 圭子

みずほ情報総研株式会社は、厚生労働省の平成29年度 老人保健事業推進費等補助金老人保健健康増進等事業として、「エンドオブライフ・ケアの現状に関する調査研究」を行った。この調査で得られた知見をベースに人生の最終段階を含む高齢期に向けて、具体的に何を準備すればよいのかをとりまとめた。

本稿では、エンドオブライフ・ケアを「いのちの終わりについて考える人が、最期までその人らしく生きることができるように、いろいろなつらさに対して関わり、いのちや生活の質を高めることを目指すケア」と定義している。また、エンドオブライフと人生の最終段階と同義として扱っている。

調査結果の詳細や先進的な事例の取組等をさらに知りたい方は、下記の調査報告書をご覧いただきたい。

1.背景と目的

わが国の死亡数は年々増加しており、2000年時点の96万人が、2016年には130万人にまで増加している。一方、同時期の出生数は119万人から98万人に減少しており、わが国は既に少産多死社会を迎えている。

現在、市町村を中心に、高齢者本人の尊厳を尊重しながら、最期まで住み慣れた地域での生活を継続できるよう、2025年を目指して地域包括ケアシステムの構築が進んでいる。しかし、世帯の小規模化、地域におけるつながりの希薄化、膨らみ続ける社会保障費など、高齢化をめぐる見通しは厳しい。

長寿は喜ばしいことであるが、人は加齢とともに心身機能や判断能力が低下し、やがて人生の最終段階を迎える。人は自分の死を看取ることはできず、誰かの手を借りなくてはならない。弊社の調査結果から、看取り期においては、死を目前にした本人だけでなく、家族・近親者、介護従事者の精神的、肉体的な負担は増加し、大きな苦しみを抱えることが明らかとなった。人生の最終段階においては、本人だけでなく、家族・近親者をも支えることが求められること、また、本人、家族・近親者を支える援助者・支援者を育成し支援することも重要であることなどが調査から明らかとなった。

本稿は、人生の最終段階を見据えつつ、高齢期に向けて取り組むべきことを5点にまとめた。なるべく多くの人が実践できることを重視してまとめを行ったので、できることから実践していただければ幸いである。

2.基本は高齢期のライフステージの円滑なシフト

100歳以上の人は年々、増えており、今後も増加が見込まれている。例えば、A氏の25歳から65歳までの40年間を想像してほしい。青年期、壮年期、初老期のライフステージを過ごす中で、仕事、家庭、資産形成、親の介護、趣味、生きがい等、多忙な日々を送ってきた。A氏が、65歳でリタイヤして105歳まで生きた場合も同じ40年間となる。リタイヤ後の40年間においても、A氏にはさまざまな変化やライフイベントが起きることが想像できるだろう。

長命化により、現在は、高齢期の中にも、元気な時、虚弱期、要介護期、人生の最終段階といったライフステージが生じている(図表1)。年齢によって一律にライフステージを決めることはできないものの、心身の状態や機能が右肩下がりに低下していくことは避けがたい。病気、寝たきり、認知症等にならないよう、予防に取り組むことは重要であり、効果も検証されている。しかし、現実には、80代を過ぎると認知症の発症率や要介護率は急速に高まり、医療、介護、生活支援等を必要とするようになる。

日常生活に支障が生じてくると、介護、医療、生活支援、見守りなどの援助・支援が必要になる。家計や資産の管理運用、すまいの選択、管理については、ライフステージを通じて、行わなくてはならない。認知機能や判断能力が低下してくると、複雑な事項についての判断や意思決定が難しくなるため、意思決定支援も必要となる。

高齢期の援助・支援については、ライフステージが進むにつれて質的にも量的にも変化していくが、既にさまざまな公的、私的なサービスのしくみが整備されている。自分の心身の状態や機能を把握して、適切な援助・支援を受け、うまくライフステージをシフトさせることで、自分の価値観やアイデンティティを維持しつつ、生活の質をなるべく落とさないようにすることが可能となる。

図表1 高齢期のライフステージ
図表1

  1. みずほ情報総研にて作成
  1. (注1)意思決定支援のしくみとして、成年後見制度、日常生活自立支援事業、ケアマネジメント、アドバンス・ケア・プ ランニング等がある。
  2. (注2)「ハートマーク」は主に私的な活動や関係。☆は主に契約に基づいて提供されるサービス。
  3. (注3)「ハートマーク」の数は高齢者自身の活動量、☆の数は高齢者が必要とする援助・支援の量をイメージしている。
  • 本レポートは当部の取引先配布資料として作成しております。本稿におけるありうる誤りはすべて筆者個人に属します。
  • レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。全ての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。

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